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Diary

水島 七恵

水島 七恵

http://mninm.com/

編集者。新潟生まれ。デザイン・アート・ファッション・映画・音楽などを思考領域としながら、企業広報紙や雑誌を中心に、企画と編集、執筆を行う。最近の仕事に、「TOKYO PAPER for Culture」(vol.01〜)の編集ディレクションと執筆、雑誌「リンネル」(毎月20日発売)でのシネマレビュー執筆などがある。自分の原点は、音楽。最近目覚めたことは、筋トレ。




本当に着たいボーダーシャツ

2017年02月20日 

ボーダーシャツという衣服。
その親しみやすさと定番感に甘えて、
今まで本気で探して手にしたことはなかったかもしれません。
G.F.G.S.に出合うまでは。

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このダイヤリーでも過去に何度か触れたことがありますが、
G.F.G.S.は新潟県加茂市発のファクトリーブランドです。
私自身、新潟県出身で加茂は母の故郷ということもあって、ALOYE×G.F.G.S.の記事執筆をきっかけにお正月やお盆に地元に帰る度に、G.F.G.S.のラボに遊びに行かせていただいては、
代表の小柳さんをはじめ、スタッフの皆様にはお世話になっていました。
そんななか、今回、改めてお仕事のご縁にも恵まれて、G.F.G.S.を伝えるための
ビジュアル冊子をディレクションさせていただきました。

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G.F.G.S.のアイデンティティとは何か。

ディレクションすることは問いを立てることでもあって、
この問いに対する答えを私は、
新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)を拠点に活動する
ダンスカンパニーNoismをモデルに起用した撮影を試みることにしました。

 

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2004年春に創設されたNoismは、創設から現在に至るまで、
ずっと国内唯一の公共劇場専属ダンスカンパニーとして、革新的な活動を行なっています。
既存の型を打ち破りながら、自分たちの型を作る振る舞いは、
完全受注生産で、1着からオーダー可能な型を取るG.F.G.S.のマインドに近しいものを感じました。

 

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自分たちの道を突き詰めていくという攻めの姿勢。
活動のフィールドは違っていても両者の根底に流れているものはきっと繋がっている。
そう信じながら、「街は踊る。」をテーマに、
撮影のためのチームを組みました。

そして撮影本番。

現場の雰囲気には本当にしびれました。
地下駐車場も舞台にしてしまうNoismという、
身体性の強度にただ圧倒されながら、
いわゆるファッションカタログという言葉では片付けられない何か違う手触りのしたもの、
それは「The first G.F.G.S. archive in 2017」へと導かれていきました。

 

しなやかな身体が纏うボーダーシャツは、G.F.G.S.の新作になります。

 

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環境は人を左右するものです。
東京の快晴も好きですが、
新潟の鉛色の空でしか生まれない文化や表現もきっとあると思うのです。
私自身、とても良い経験をさせていただきました。

ちゃんと噛んで味わう年に

2017年01月20日 

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年が明けて2017年お正月。地元・新潟で街の人たちに愛されている
老舗ラーメン屋のラーメンを食べながら、
今年はよく噛んで食べることを目標の一つにしようと決意しました。

美味しいものを口にすると、その美味しさゆえかあまり噛まずに飲み込んでしまう性格の自分。
それはまるで育ち盛り、食べ盛りの男子のような食べっぷりで、
自分でもよく恥ずかしく思っていました。
わかっていても止められず、結果、大食いの悪循環。
よく噛んで食べた方が胃腸に負担もないし、何より食事の時間がもっと楽しくなる。
言葉では理解していたものの、どうにも実践できないこの感じを半ば諦めていた私の前に現れたのが、
生物学者・福岡伸一さんのこの言葉でした。

 

『消化の本質は情報の解体にある。他人の文章がいきなり私の身体に入ってくると、情報が衝突し、干渉を起こす。』
(朝日新聞から一部抜粋)

 

腑に落ちるとはこういうことを言うんだなあと。
よく噛んで味わって食べるという行為は、食べ物に限らずいろんな物事に通じることだと
ストンと身に染みたんです。ハッとさせられて、見えている世界が広がっていきます。
福岡さんの言葉はいつも柔らかくて、あらゆる分野を横断しながら自分事にしてくれます。
これからは物事をちゃんと噛んで消化しながら歩いていこう、本当に。
そして必要な筋肉をつけて、動ける身体を作って、
今まで見えていなかった景色をたくさん見たいと思います。

本年もよろしくお願いします。

美味しいものはやめられませんね。
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余談ですが、以前、ジャーナルでも出演いただいた
山フーズの小桧山さんが作った手のクッキー。
なかなかにリアルでちょっとだけ食べること、躊躇しました。

(最後は食べました!美味しかったです)

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ジョセフ・アルバース、という視点。

2016年12月20日 

生きていてワクワクする瞬間とはどんな時ですか?

あるとき、ふいに人に質問されて、一瞬戸惑いながらも、

「見えていなかったものが見えるようになったとき。
こういう見かたもあったんだ、と発見したとき、気づいたとき」
と答えている自分がそこにいました。

 私が職業にしている編集者という仕事は、言い換えると、無限にある視点から、
「こういうものの見かたもありますよ」と、一つの視点を提案するような仕事でもあります。
ものの見かた。それは世界の見かたでもあるような気がしています。

 

例えば10代の頃に手にした本。開いてみたけれど、言葉が入ってこなくて全く面白くなかった。
なのに10年後に再び手にしてみたら、すごく面白く読み進められた、ということがよくあります。
なぜ面白くなったのか。それはきっと10年間のあいだにいろんな人に出会い、いろんな経験をして、
そこで世界の見かたを増やしてきたからなんだろうな、と思うのです。
そして見かたを増やすことは同時に選択肢が増えることでもあり、
選択肢が増えることは、多様性を受け入れることにもつながるような気がしています。
例え自分とは決定的に違っても、こういう見かたをする人もいるんだなという、見かたができれば、
もう少し世の中から争いごとが減るような、そんな気さえもするのです。

 

ジョセフ・アルバース。

 

1920年代ドイツのバウハウスのメンバーであり、アーティストでもあるアルバースの作品に、
私はワクワクしています。
 お恥ずかしながら20世紀を代表するアーティストでもあるアルバースを
ちゃんと知ったのは今年の事です。
きっかけは、1月にミサワバウハウスコレクションで行われていた企画展
「バウハウス前、バウハウス以後」での事。

 

Processed with VSCO with b1 preset

 

そこで展示されていたアルバースの「正方形へのオマージュ」シリーズ。
様々な色調や大きさの正方形を重ねて描いた連作でした。
シンプルな構成の抽象画とも言えるその作品を見ながら、
私はアルバースがどのような背景を持って、
ここにたどり着いたのか気になりました。
と、その作品のそばに置いてあった彼の著作をすぐに手にしました。
タイトルは、『ジョセフ・アルバースの視覚世界 Despite Straight Line 直線のみで』。
中身は直線のみによる作品とアルバースの詩文を中心に紹介されていましたが、
まさに作品は何の情緒のかけらもない直線の組合せからできています。
けれどその線は、見れば見るほど何か、物語が立ち上がってくるのです。

 

作品を形成する要素はすべて等しい重要性を持っている。
アルバースの作品群は、見る人の関心の在り場所の度合いによる、
上下の関係というものが存在せず、知覚の領域についての手がかりだけがある。(※)

 

※『ジョセフ・アルバースの視覚世界 Despite Straight Line 直線のみで』から、
フランソワ・ブシェの解説より抜粋

 

本の中で綴られていた美術史家、フランソワ・ブシェの解説を読んで腑に落ちました。
そして、私の中であたらしいものの見かたがまた一つ増えた気がしました。

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 先日、アルバースと同じようにいつも私にものの新しい見かたを気づかせてくれる
グラフィックデザイナーの佐藤卓さんがディレクションする企画展、

「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」を21_21 DESIGN SIGHT
で観ていたら、1Fの書籍や雑貨の販売コーナーに、ジョセフ・アルバースの著書が
置かれていました。タイトルは「配色の設計 色と知覚と相互作用」。

「色のインタラクション」とは「色と色のあいだで起きていること」であり、
それは「私たちの心のなか」で起きていることなのだ。
インタラクションを学ぶことは「私たち自身を学ぶこと」にほかならない。(※)

 

※「配色の設計 色と知覚と相互作用」日本語版に寄せて/ 監訳者序文より

 

序文だけで、ぐっと引き込まれるわけですが、佐藤さんもアルバースも
共通しているのは、実践から生まれた理論がしっかりあって、
それもいろんな人が自分ごとにできるような柔らかな言葉で語られているという点です。
言葉がすべて肉体的なのです。

しばらくはこの本を読んでまた新しいワクワクを獲得したいと思います。

 

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