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Diary

新しい地図

2017年05月20日 

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いつの間にか新潟で暮らした長さよりも、東京で暮らした長さの方が勝っていました。自分が出たくて出た新潟。にも関わらず、今、新潟を知りたいと思うから人生は不思議です。

東京で出身地を聞かれて「新潟です」というと、ほとんどの人から「お酒強いでしょう」と言われるように、新潟と言えば、コシヒカリと日本酒のイメージが一般的。そういう中で私自身、新潟というまちは、例えば京都や奈良、大阪、石川のように、濃厚な土着的文化には薄く、全体的にさらっとしているイメージを持っていました。それに東京までは新幹線で約2時間という近さもあって、若者たちは東京に意識が傾きやすく、東京から発信されるカルチャーを日常の中に取り込む器用さもあります。

あくまで主観的な見かたですが、どこか物足りない。これが正直な新潟に対する
印象でしたが、ここ数年、ふとあることが意識に上るようになってきました。

鉛色の空です。

天気は人の気持ちにとても作用しますが、日本海に面した新潟は、
雪雲が発達しやすく、冬から春にかけてはとにかく毎日がどんよりしています。
重たい雲が立ち込めていて、まるで上から圧迫されるような感覚に。
私はその空がとにかく苦手で、東京に出てきて一番嬉しかったことの一つに、
東京の冬晴れがあるくらいでした。ところがここ数年は、
そんな鉛色の空に、不思議と心落ち着く自分がいるんです。

そしてこの鉛色が、新潟の人たちの辛抱強さや謙虚さ、うっすらとある
暮らしの色気のようなものに繋がっているように思えてきたんです。
10代の頃には見えていなかった景色が、30代の今、見えてくるということ。
その鉛色の空をきっかけにして、私は今、新潟のまちの営みに
とても興味を持ち始めました。10代の頃に手にした地図ではなく、
今の自分がこのまちを歩き、新しい地図を手にしたい。
そんな想いがふつふつと湧いています。

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例えば、もう上ることのできなくなったレインボータワー。
東京スカイツリーと同じ高さを持つ弥彦山の麓に鎮まる弥彦神社。

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十日町のまちにしっとりと馴染みながら、
上映作品のセレクトも素晴らしいまちの映画館、十日町シネマパラダイス。
樹齢約90年ほどのブナの木が一面に生い茂る十日町美人林。

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10代の頃は足を止めることがなかった風景が、今輝きを放っています。

同時に、新しい人によって、新しい新潟の風景が作られつつあるのも見逃せません。新潟では注目されつつある沼垂エリアで、写真集を中心にした新刊と古書をセレクトした本屋を構えるBOOKS f3。

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ここで東京でお世話になっている写真家の方たちの作品集を手にすると、東京で手にするのと違った見かた、気づきを得られるのが面白いです。何より新潟を拠点としながら活動するクリエイターの動向も知ることができます。

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これからもすこしずつ地図を広げていきたい。 そしてそれを多くの人と共有していけたらいいなと思います。

 

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平