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民具木平の市場調査 第23回 2017年4月 東京(ランダム)&『三月の水』 ”Tokyo 2017 April (Random) & 『Águas de março』”

2017年04月30日 

こうしてるあいだも右の奥の下の歯が痛い。
タイトルの2017年4月 東京という文字の並びがまったくもってピンとこない。

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『三月の水』(アントニオ・カルロス・ジョビン)菊地成孔さん朗読

枝 石ころ 行き止まり
切り株の腰掛け 少しだけ独りぼっち
ガラスの破片
これは人生 これは太陽 これは夜 これは死

この足 この地面 この身と骨
道路の響き スリングショット
魚 閃光 銀色の輝き
争い 賭け 弓の射程 風の森 廊下の足音
擦り傷 瘤 何でもない

槍 釘 先端 爪 ぽたぽた この物語の終幕
トラックが運んでくるいっぱいの煉瓦 柔らかな朝日の中
銃声 丑三つ時
1マイル やるべき事 前進 衝突
女の子 韻 風邪 おたふく風邪

家の予定 ベッドの中の身体 立ち往生した車
ぬかるみ ぬかるみ

そして川岸が語る 三月の水
人生の約束 心の喜び

浮遊 漂流 飛行 翼
鷹 鶉 春の約束 泉の源
最終行 落胆したあなたの顔
喪失 発見
蛇 枝 あいつ あの男
あなたの手の中の棘 そしてつま先の傷

川岸が語る 三月の水
それは人生の約束
それはあなたの心の喜び

一点 ひと粒 蜂 ひと口
瞬き ハゲタカ 突如の闇
ピン 針 一撃 痛み
かたつむり なぞなぞ カリバチ 染み
枝 石ころ 最後の荷物 切り株の腰掛け 一本道

そして川岸が語る 三月の水
絶望の終わり
心の喜び
心の喜び
心の喜び

この足 この地面
枝 石ころ これは予感 これは希望

 

北九州は小倉、そして日田

2017年04月20日 

3月の終わり。

画家の牧野伊三夫さんと一緒に、牧野さんの故郷でもある
北九州は小倉と大分県は日田を旅する縁に恵まれました。

牧野さんの視点もお人柄も、そして描かれる絵も、
全てがチャーミングでユーモアがあり、
それでいて鋭く、太く、かっこよく。
とにかく一言では言えない何層にも渡ったその魅力に
いつも取り憑かれている私は、牧野さんの目線で眺める
小倉と日田を旅できるとあらば行きたいと、決まった時点から本当に
ワクワクしました。

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「小倉へは船で」。
行き方のディレクションも入りました。

大阪・南港から北九州・新門司港までフェリーが出ているから
それに乗って北九州へ来ると良いですよ、と。

フェリーは名門大洋フェリーという名。
大阪から九州まで、新幹線であれば2時間半で着くところを、
フェリーに揺られる場合は、10時間以上の旅になります。
佐渡島に住んでいたことのある私にとって、
船は案外と身近な存在ではあったけれど、
瀬戸内海を航海するのは初めて。

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実際乗ってみると、これまた一瞬、まさかのタイタニック気分。
佐渡島を往復する船の規模とは格が違うし、
何より船という非日常の空間は、人を高揚される力を持っています。

その後、お風呂に入れば、女子高生たちと裸の付き合いをしたり、
明石大橋を通る瞬間を見たいと甲板に出れば、記念写真に夢中の大学生の集団と相見えたり、
そこでタイタニック気分から一気に修学旅行気分へと様変わりするわけですが、
それはそれで楽しいものでした。

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翌朝。
この風景を見るために、名門大洋フェリーに乗ったのかもしれない。
そんな瞬間を掴みとりながら、新門司港へ到着。
小倉駅にて牧野さんと合流しました。

月天という、最高の小倉ラーメンを食べた後は、
小倉北区京町に開館した「北九州文学サロン」へ。

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牧野さんがサロンのシンボルとして、
陶板画「かがやく太陽、燃える鐵、うたうわれら」をTOTOと共同制作されていたので
それも合わせて見学するために訪れました。
サロン内に展示されていた北九州ゆかりの作家のパネル一覧を見ながら、
こんなにたくさんの作家を生み出した土地なんだと思いつつも、
実際、自分自身小倉の街を踏みしめてみて、納得する部分もあり。
炭鉱の街、小倉は街を射す光がどこか切なくて、淡い感じがあって、
その孤独な振る舞いが、書くという行為に走らせたのかな、などと思ってしまう。
実態のない言葉で申し訳ないのですが、それがとにかく私の実感でした。

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その後、牧野さんの北九州の画室、足立山にもお邪魔して、古い作品をたくさん見せていただき、
敬愛する画家の深層部にたどり着いたような気分をたっぷり味わい、
陽も暮れた頃には、門司港にてそれはそれは人生で一番というお寿司を食べました。

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翌日。
小倉から大分県日田へ。
日田では牧野さんは冊子係として参加しているヤブクグリのみなさんと合流。

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「いま、森を見よ!」
の合言葉で、 森を愛する仲間が集い、
日田の林業を中心に何か愉快なことをやっていく会、ヤブクグリ。

私はそんなヤブクグリの周辺に身を置かせていただくことで、
念願だったきこり飯を食べたり、日田杉の現状を知ったり、
ヤブクグリミーティングに参加させてもらいました。

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そして日田といえば日田シネマテーク・リベルテさんです。
オーナーの原さんがキュレーションした映画作品の上映をはじめ、
牧野さんを含む様々な作家さんによる作品の展示や
カフェスペースもあるリベルテさんは、
映画館でありながら、映画だけではない空間を、
とても大切に積み重ねていました。

私はそこで2度目となる「この世界の片隅で」、
そして「五島のトラさん」を牧野さんやヤブクグリのみなさんと鑑賞。
旅先でそれも朝、映画を観ることは初めてでしたが、
これがまた旅を満たす後押しに。
鑑賞後では、見えている景色が少し変わって見えるから不思議です。

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もちろん、日田の美味しいものもたくさんいただき、
牧野さんが大切にしてきた風景を、一緒になぞるという楽しみを存分に味わい、
私はそのまま別府へ。牧野さんは飛騨高山へと向かいました。

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3泊4日。
非日常の時間を過ごしながら、
その土地の日常をつねに探していました。
ワクワクしたり、どきどきしたり、本当に色っぽい瞬間とは、
いつだって日常にあるように感じています。
それを敬愛する人と一緒に共有することは、
幸せと呼ぶんだなあと思った、旅でした。
ここでの旅が、自分の日常にどう作用するのか、
とても楽しみでもあります。

 

 

 

常滑でガウディ?

2017年04月10日 

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常滑のまちを歩いているといたるところにやきものがあって驚く。それらはすべて生活の痕跡を感じさせ、ここがどのような場所で、どのような人が暮らし、どんな歴史をへてきたのか。雄弁に物語っているように思えた。そしてそれはさらに、ここで暮らす人々の今の暮らしをも想像させるものであった。

衛生陶器や住宅設備などで知られるINAXのミュージアム、「INAXライブミューアム」は、そんな常滑にある。常滑とはJR名古屋駅から特急電車で30分ほどの場所にあり、すこし行けば、名古屋国際空港がある、海に近いまちである。
先のやきもので分かる通り、土とやきものの魅力を伝える文化施設である「INAXライブミュージアム」には、古今東西のやきものが展示され、土に触れ、楽しむための企画がたびたび行われている、まちと人に開かれたミュージアムである。訪れた日も、光るどろだんご制作のワークショップが開催されていて、たくさんの子どもたちで館内はにぎわっていた。

今回、INAXライブミュージアムを訪れたのは、館内で昨年11月にはじまった『つくるガウディ』展をみるため。これはINAXライブミュージアム開館10周年を記念に行われているもので、このミュージアムのコンセプトであり、スペインの建築家アントニオ・ガウディのコンセプトのひとつでもある、土とタイルをモチーフとした表現の可能性を追求するものとして、建築家と職人のコラボにより、ガウディ建築を再現するというもの。

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実際に訪れた日には、天井高のある館内いっぱいにガウディが設計した未完の「コロニア・グエル教会」を再現した、アーチ状の建築をみることができた。

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本展において、本作が制作される「土・どろんこ館」など、INAXライブミュージアムのいくつかの建物も設計した建築家・日置拓人氏が手がけるのは、ガウディの作品の中でも未完の建築として知られる「コロニア・グエル教会」から着想を得たもの。コロニア・グエルは未完でありながら、ガウディが10年もの歳月をかけて逆さ吊り構造実験など、その後の「サグラダ・ファミリア」につながる構造実験をしてまで向きあった建築。今回その制作にタッグを組むのが、土の専門家である左官職人である久住有生氏、これも土からタイルをつくるタイル職人である白石普氏の二人。

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会場は建設現場さながらに、建設途中の建築、そしてそのまわりには足場が組まれている。館内に入る人はまさに建設現場に入るときのように、ヘルメットを着用する。「コロニア・グエル教会」は地下部分以外は未完で、今回のエキシビションではその地上部分の建築の一部を3人の作家たちが再現した。
土とやきものというINAXライブミュージアムのコンセプトは、タイル、土、レンガといったガウディ建築のモチーフとも重なる。

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木材で組まれた足場は、現在ではみることほとんどないが、これは19世紀から20世紀初頭という、ガウディの時代の建築現場を想起させる。
一歩足を踏み入れれば、左官やタイル貼りといった職人の手仕事を間近にみることができる。当日は二人の職人が手に仕事道具をもって、施工の真っ最中。

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左官を手がける久住氏は、祖父の代から続く左官職人の家に生まれ、海外でも修行をした経験をもつ左官界のカリスマとして知られている方。商業施設やホテル、歴史建造物の修復なども手がけ、さまざまな技法を取り入れながら、圧倒的な知識と経験なくしては成り立たない左官の魅力を世に伝えている。
左官について裏方の仕事といい、ただただ真っ平らな壁をつくるのが実は一番難しいという久住さんの仕事はこの作品においても、美しいテクスチャーをもった仕上げを実現している。

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一方、タイルを手がける白石氏は、20歳のときにイタリア・ギリシャでみたローマ遺跡やビザンチン建築に刺激を受け、タイル職人になった。イスラム建築などにみられる幾何学モザイクに魅せられ、モロッコで実際にモスク建築に携わった経歴をもつ。数々のタイルのデザインと自ら施工も行う。

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この建築に使われるタイルも本作のために特別にデザインし、つくられたもの。この作品ではなるべくシンプルに、同じ形のタイルを使い、職人自ら貼りながら考えることで、白石氏にしか実現できない表現を生み出している。

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タイルは土とのコラボレーションだが、あえて土らしい色ではなく、グリーンからブルーのグラデーションの自然界のなかにあるような鮮やかな色に仕上げられた。数種類のタイル制作は、石膏で型をとり、そこにひとつずつ粘土を嵌めて象り焼いて釉薬を施し仕上げる。

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現代でありながら、そのドームの内側には時代を越える静謐な空間が広がっている。日本なのかスペインなのか分からない本作の制作の現場に職人さんがいる風景は、なんともいえないものであった。これは公開制作を見学できる本展ならではの魅力にほかならない。
ガウディが残したスケッチなどをもとに、現代の建築家が想像しながらつくったという建築も、1/4というスケールでありながら、大きな広がりを感じさせる。左官の流麗な仕上げ、あまり日本の建築ではみられない天井のタイル張りなど、見所がたくさん。このプロジェクトが教えてくれるのは、ものをつくるたのしさ。こんな豊かな表情をもった建築を実現するのは、このものをつくるたのしさが原動力になっているのだ。

『つくるガウディ』展の会期は2017年3月31日までだったが、『完成!常滑ガウディ』展が4月15日から5月30日まで、ここINAXミュージアムで行われる。これは公開で制作された”常滑ガウディ”の完成お披露目であり、美しい照明演出とのコラボによる作品展示である。

会期スタート前日となる4月14日には、建築家の伊東豊雄氏のトークがオープニングイベントとして開催されるというから、こちらにも注目したい。
建築家、そして普段はむしろライバル関係にある左官、そしてタイル職人の緊張感のあるコラボレーション。そこからあらたに生まれたガウディの建築。目撃できるのは今だけだ。

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INAXライブミュージアムの敷地には、やきものにまつわる建造物の宝庫。昔からのこの場所にあった煙突、窯、建物などが保存され、このまちがかつて、やきものでいかに賑わっていたか往時をしのばせる。

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ミュージアムに訪れたら、ぜひ常滑散策を楽しんでいただきたい。1850年ころに建造された、常滑市指定有形文化財になっている廻船問屋「瀧田家」前の坂道にもやきものがずらり。まちの至るところにあるやきものに、このまちの歴史を垣間みることができる。

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細い路地には猫がつきもの。やきもののお店では招き猫がお客さんを迎えてくれる。

そしてここのまちのシンボル「とこにゃん」。常滑のメインストリートを崖の上から見下ろしている。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平