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民具木平の市場調査 第19回 大ラジカセ展 ”Dai Radicasse Ten Exhibition”

2016年12月30日 

大ラジカセ展、最終日の夕方にすべりこみ。http://dairadicasseten.haction.co.jp/
ラジカセと、多岐にわたるその周辺文化と媒体を織り込んだ、情報量の多い素晴らしいExhibitionでした。

ラジカセそのものについては、ラジカセのデザイン! 増補改訂版 (立東舎) 松崎 順一 ラジカセ for フューチャー: 新たに根付くラジカセ・カセット文化の潮流 松崎 順一 、またはラジカセのデザイン! JAPANESE OLD BOOMBOX DESIGN CATALOG [DVD] などで、チェックしていただくとして、今回の調査報告では、ラジカセ周辺媒体の展示のほんの一部をぼくなりに切り取ってみようと思います。

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カタログ関係です。基本的には「美女×ラジカセ」という鉄板の構図ではありますが、時代や機種によって演出がいろいろで、森の中での清楚なワンピース姿の女性であったり、宇宙服を連想させるSF系、暗闇の中でジーパン一丁で正面からの強風に煽られながらゲットーブラスターを担ぐワイルド系などなど、テーマが多岐に渡っており、つくるのが楽しそう。

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竹の子族の写真です。
〜音を拡散させるため、スピーカーが上を向くようラジカセを寝かせておいている。〜(時事通信フォト)

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ラジカセのあるこども部屋をイメージしてつくられたカセット体験のコーナーです。

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壁にはつくば万博 ’85のポストカード!!
まさにぼくの世代のこども部屋はこんなかんじでした!正確な時代考証に基づくスタイリングが素晴らしいです。

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伝説の「カセットマガジンTRA」全編を特別公開。展示協力:ミック・イタヤ


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ビックリハウス

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「民間薬」
どんな内容なのだろう

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「カセットは語る」のコーナー
〜クリエイターによる「オリジナルカセットアート」や「コレクション」を紹介します。音だけでなく思い出や時代も記録するあたたかなメディア=カセットテープに何を描き記録するのか!〜

上の写真はイラストレーターの安齋肇さんの空耳アワー資料。
音だけでなく、インデックスにメモやグラフィックなどを記録できるというのが、今考えるとすごく利便性の高い媒体であったことを認識させられる。


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僕の中での今回の目玉のひとつ、イラストレーターの永井博さんのコレクション。
年末の忙しいなか、どうにかすべりこみましたが、このコレクションをみれただけで、十分にもとをとれた感があります。

〜Q ラジカセまたはカセットテープの魅力を教えてください〜

〜A ジャケットを自分で作るたのしみ、好きな曲をいれられるとか。※むかし作ったのは波の音とかを曲のあいまにいれたりした。〜


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SHARPのラテカセ、CT-6001 Color-TV THE SEARCHER のうしろ姿です。
近年アイホンのカメラがわずかに出っ張ってるとか騒がれたりしていましたが、みてください!この男らしいブラウン管の出っ張りを!!

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J-WAVEの開局ポスター(1988年)です。
デザイン:ジェイ・バイゴン
かっこいい

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「郷太」と書かれたステッカーが貼られた西寺郷太さんのコレクションです。
R.I.P George Michael

この日、幸運にも取材のために会場を訪れていたデザインアンダーグラウンド主宰の松崎さんに少しお話しを伺う事ができて、来年からの動きもさらに楽しみな感じでワクワクしています。
実は10年以上前に一度、おそらく設立されてまだそう時間ががたっていない頃に、足立区にあるデザインアンダーグラウンドの工場を訪れたことがあり、そのときも松崎さんに色々とお話を伺う機会がありました。その後、青山のシボネさんでラジカセが売られたり、本やDVDを出版されたりと、松崎さんの精力的な活動を遠目に見ていたので、今回の展示で再びお会いする事ができたのはとても感慨深かったです。
来年は「MY WAY」の発売も控えていて、ますます目が離せないです。

 

 

ジョセフ・アルバース、という視点。

2016年12月20日 

生きていてワクワクする瞬間とはどんな時ですか?

あるとき、ふいに人に質問されて、一瞬戸惑いながらも、

「見えていなかったものが見えるようになったとき。
こういう見かたもあったんだ、と発見したとき、気づいたとき」
と答えている自分がそこにいました。

 私が職業にしている編集者という仕事は、言い換えると、無限にある視点から、
「こういうものの見かたもありますよ」と、一つの視点を提案するような仕事でもあります。
ものの見かた。それは世界の見かたでもあるような気がしています。

 

例えば10代の頃に手にした本。開いてみたけれど、言葉が入ってこなくて全く面白くなかった。
なのに10年後に再び手にしてみたら、すごく面白く読み進められた、ということがよくあります。
なぜ面白くなったのか。それはきっと10年間のあいだにいろんな人に出会い、いろんな経験をして、
そこで世界の見かたを増やしてきたからなんだろうな、と思うのです。
そして見かたを増やすことは同時に選択肢が増えることでもあり、
選択肢が増えることは、多様性を受け入れることにもつながるような気がしています。
例え自分とは決定的に違っても、こういう見かたをする人もいるんだなという、見かたができれば、
もう少し世の中から争いごとが減るような、そんな気さえもするのです。

 

ジョセフ・アルバース。

 

1920年代ドイツのバウハウスのメンバーであり、アーティストでもあるアルバースの作品に、
私はワクワクしています。
 お恥ずかしながら20世紀を代表するアーティストでもあるアルバースを
ちゃんと知ったのは今年の事です。
きっかけは、1月にミサワバウハウスコレクションで行われていた企画展
「バウハウス前、バウハウス以後」での事。

 

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そこで展示されていたアルバースの「正方形へのオマージュ」シリーズ。
様々な色調や大きさの正方形を重ねて描いた連作でした。
シンプルな構成の抽象画とも言えるその作品を見ながら、
私はアルバースがどのような背景を持って、
ここにたどり着いたのか気になりました。
と、その作品のそばに置いてあった彼の著作をすぐに手にしました。
タイトルは、『ジョセフ・アルバースの視覚世界 Despite Straight Line 直線のみで』。
中身は直線のみによる作品とアルバースの詩文を中心に紹介されていましたが、
まさに作品は何の情緒のかけらもない直線の組合せからできています。
けれどその線は、見れば見るほど何か、物語が立ち上がってくるのです。

 

作品を形成する要素はすべて等しい重要性を持っている。
アルバースの作品群は、見る人の関心の在り場所の度合いによる、
上下の関係というものが存在せず、知覚の領域についての手がかりだけがある。(※)

 

※『ジョセフ・アルバースの視覚世界 Despite Straight Line 直線のみで』から、
フランソワ・ブシェの解説より抜粋

 

本の中で綴られていた美術史家、フランソワ・ブシェの解説を読んで腑に落ちました。
そして、私の中であたらしいものの見かたがまた一つ増えた気がしました。

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 先日、アルバースと同じようにいつも私にものの新しい見かたを気づかせてくれる
グラフィックデザイナーの佐藤卓さんがディレクションする企画展、

「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」を21_21 DESIGN SIGHT
で観ていたら、1Fの書籍や雑貨の販売コーナーに、ジョセフ・アルバースの著書が
置かれていました。タイトルは「配色の設計 色と知覚と相互作用」。

「色のインタラクション」とは「色と色のあいだで起きていること」であり、
それは「私たちの心のなか」で起きていることなのだ。
インタラクションを学ぶことは「私たち自身を学ぶこと」にほかならない。(※)

 

※「配色の設計 色と知覚と相互作用」日本語版に寄せて/ 監訳者序文より

 

序文だけで、ぐっと引き込まれるわけですが、佐藤さんもアルバースも
共通しているのは、実践から生まれた理論がしっかりあって、
それもいろんな人が自分ごとにできるような柔らかな言葉で語られているという点です。
言葉がすべて肉体的なのです。

しばらくはこの本を読んでまた新しいワクワクを獲得したいと思います。

 

ホンマタカシ氏インタヴュー 
ドキュメンタリー映画の方法論について、あるいはその不可能性について。〜後編〜

2016年12月10日 

あなたは、あたしといて幸せですか?
(C)Takashi Homma New Documentary

いよいよ写真家ホンマタカシ氏による4作品からなるドキュメンタリー映像作品の特集上映が渋谷のシアター・イメージフォーラムで始った。ニュードキュメンタリーとは、これまで写真作品を題材にホンマ氏が取り組んできた写真のテーマ、あるいはコンセプト。後編ではホンマ氏初の長編作品について、ホンマ氏が見据えるものについてお話をうかがった。

「After 10 Years」で撮りたかったもの。

ーー今回の4作品の中で上映時間もそうですが、「After 10 Years」が占める比重というのは大きいと思うのですが、そこで撮りたかったものはどんなことでしょうか?

それにはいくつかあって、建築を好きな人がバワの手がけたリゾート建築を映像を通じて追体験してもらってもいいし、あと今回分かったのが、映像では掃除をしているところをしつこく撮っているんだけど、結局ホテルの仕事って掃除なんだよね。よくよくホテルの人を見ていると一日中掃除をしていることに気がついて。それを丹念に撮影しています。映画を観てもらえれば分かると思うんだけど、一口に掃除といってもいろいろあります。箒で掃くことひとつをとっても芝生の上、庭、タイルの上とか、場所によっていろんなやり方があって、それを見るのもいいと思う。あとワイズマン作品になくて僕だけがやっているのが、インタヴューです。本作では10年前に実際に被災している従業員4人にインタヴューをしているんだけど、津波という実際はひとつの事象に対して、記憶はその4人が4通りなわけ。その微妙なズレが興味深いんです。それって日常にも普通にあることで、今ここでこのコップが倒れたとして、それを誰かに説明するときに、君と僕とでまったく違うということがあり得るわけです。この映画でいえば4人の記憶の微妙な違い、そういったことにものすごく興味があった。それと同じく被災したイギリス人にもインタヴューをしているんだけど、スリランカ人と西洋人という宗教観の全然違う人種では、津波に対する受け取りかたも全く違っていて。それも面白かったですね。

ーー日本でも近い時期に3.11があって、日本人が経験したことと照らし合わせるのも興味深いですね。

そうそう。だから、僕が3.11に関して当時東京にいて被災しているといっても、東北の津波に関しては当事者ではないから何も語ることは出来ないんだけど、遠くスリランカでもこの映画を撮りながら東北のことを考えていました。今東北で被災した人にインタヴューしたとしたらとても悲しい顔をすると思うけど、さらに10年経ったらその表情も少し変わるかもしれない。それも人間なんじゃないかということも、この映画で伝えたかったことのひとつにはあります。だから何かに対して、こうでなければいけないというのは実は怖いことなんじゃないかと思っていて。最後のスリランカ人のインタヴューなんか、笑いながら思い出話をするんだよね。そのことを単純にけしからんとは他人は言えないんですよね。

ーー物事の捉え方は時間とともに変化することはありますからね。

そうなんですよ。だから、あることが起こってすぐその後に撮らなくても、10年後には10年後のドキュメンタリーというのものがあると思うんだよね。

ーー映像を撮る上でワイズマン以外に参照したものはありますか?

ワンビン、アピチャッポン、ゴダールのいくつかのドキュメンタリー的な所かな。だから劇映画ではないといっても、興行を度外視したような映画の中にも、映像作品における豊かな鉱脈って間違いなくあると思う。

ーードキュメンタリーはそういったものから解放されているところがあるとお考えでしょうか?

ただ、諏訪さんと話していたのが、ドキュメンタリー映画自体もジャンル全体でいえば、ある種膠着状態にあるということが言えると思っていて。それは撮り方や手法についてもそうだし、何か伝えたいことがなければ撮ってはならないということもあるように思う。何分か一度にクライマックスがあるべきとか、まるでバラエティ番組みたいなところもあるよね。

ーードキュメンタリーにしても、劇映画にしてもある種の時代精神がそこには宿っているような気がします。

それはあるかもしれないけど、僕自身は使命感ではなく、好きでやっているだけですけどね。ただ全体化に対する反抗心は必ずあるよね。

最初にカケスがやってくる
(C)Takashi Homma New Documentary

ニュードキュメンタリーについて

ーーホンマさんのテーマでもある「ニュードキュメンタリー」の最新作が映像作品のオムニバスであることにはとても興味があります。そもそも「ニュードキュメンタリー」とはどのようなものなのでしょうか?

「ニュードキュメンタリー」って、結局はドキュメンタリーってこういうものだと考えている人たちに対する挑発的な言葉だよね。ドキュメンタリーに「ニュー」ってなんだと。それに対してもまた反発する人もいるかもしれないけれど、いろんなジャンルに「ニュー」というものがあるんだと多少なりともひっかかってもらえればそれでいいのかなと。

ーー写真にもモダニズムがあって、その乗り越えとしてのポストモダニズムがありますが。

もちろんニューじゃなくて、ポストドキュメンタリーって言ってもいいんだけど、ポストっていうと本当に乗り越える感じが強すぎて。ニューだとどちらかというともっと軽やかというか「横道」だよね。いわば別の道。だから「オルタナティブドキュメンタリー」でもいいと思う。

ーーそれとホンマさんの映像作品には撮る対象としての現象、あるいは環境としての音に対するこだわりを感じます。

それはそうだろうね。さっき言ったみたいに映像が音に従属してはダメだし、その逆もそうだよね。映像と音が対等にできないかなといつも思っています。

ーー「ニュードキュメンタリー」としてホンマさんが繰り返し問いかけていたのが、写真とは何か?ということでした。それは同時に写真に写っているものは真実であるということを改めて問い直すというものでしたが、映像でいえば写っている時間が写真より長い分、真実と虚構の関係性がよりせめぎあっている感じがするのですがそのことについてはいかがでしょうか?

そういった意味では映画の方が写真よりも、こう見てくださいと見方を引っ張ってしまう強さはあるとは思う。

ーー映像作品はビデオで撮影されているのですか?

写真家の中平卓馬さんのドキュメンタリー「きわめてよいふうけい」が16mmでそれ以外は全てビデオで撮影しています。

ーーニュードキュメンタリーをコンセプトに今後も作品を発表されていく予定ですか?

今後のことはまだ分からないですけどね。また新たなキャッチフレーズを考えるかもしれないし。でも僕の中では「東京」と「ニュー」は大きいね。

ーー今回の「After 10 years」のリゾートの風景もそうですが、ホンマさんの1998年発表の写真作品「東京郊外」にも行き場のない気持ちを解き放ってくれるような、楽天的な開放感を感じました。

開放感もそうだけど、僕の中では「どこでもない場所」というのがもうひとつあるんだ。それはSF的なというか。「東京郊外」といっても、単に「東京の郊外」だけではなく、いろんな場所の郊外の写真を一冊にまとめ上げて、架空の東京郊外という場所を作り上げている。それはリアルな東京とは全然違う。そういった意味ではSF性があるよね。それは波を撮ったシリーズである「NEW WAVES」もそう。だからさっきはSF的と言ったけど、その飛躍がなければ、ただ実直に撮っているだけではこうはならなかったはずなんだ。一対一の関係だけしかなかったら、あらためてみる意味も撮る価値もないんじゃないかな。

ーーホンマさんには僕たちには見慣れた風景が少し違ってみえているのかもしれませんね。

それははっきりとは分からないけど、人によって風景がまるっきり違って見えているということは絶対あるよね。

2016年10月、東京・恵比寿某所にて。

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ホンマタカシ氏

1962年東京都生まれ。1999年、写真集『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』(光琳社出版)で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。「Babyland」(リトル・モア /1995年)、「Tokyo and my Daughter」(Nieves /2006年)、「NEW WAVES」(PARCO出版 / 2007年)他、著書「たのしい写真 よい子のための写真教室」(平凡社 / 2009年)、作品多数。
http://betweenthebooks.com/

「ホンマタカシ ニュードキュメンタリー映画 特集上映」
2016.12.10(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
(1週目昼興行、2週目レイトショー)
制作:between the books  配給協力・宣伝:mejiro films

◎公式サイトhttp://betweenthebooks.com/
◎劇場版予告 youtube https://www.youtube.com/watch?v=7OS-TPIEynI
◎公式Facebook https://www.facebook.com/Newdocumentary2016/

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平