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あなたにとっての新しさって何ですか?

2016年06月05日 

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「男気手袋」。ヘビーデューティーな存在感で、カッコつけていないのにモテてしまう。そんな存在になりたい。

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新しいことだけがNEWではない。続いていること、スタンダードであることには「意味」があるのではないでしょうか。
数々の新作がカラフルに展示されるインテリアライフスタイル展において、歴代のDUENDEコレクションなどを中心に、新しいとは何か、物の価値や意味を問いかける、マークスインターナショナルのエキシビションン形式の展示会「意味>新」展を6月1日から3日までの3日間開催されました。

僕は会場やウェブで公開される作品テキストを中心としたお手伝いをさせていただきました。

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今回、会場の空間デザインには大きなこだわりがありました。通常の展示会での展示の仕方に比べて、一点一点の作品をその作品の新しいストーリーにもとづき丁寧に紹介することにこだわりました。会場の設営は職人さんの手により手際よく進んでいきます。

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展示物のスタイリングにもその道のプロの方に参加していただきました。ファッション誌などのスタイリングでも活躍している田中美和子さんがスタイリングを担当。ティッシュの立ち上がり方にもこだわって展示しています。

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オープン初日の朝早くから会場撮影。小冊子の撮影も担当した小野田陽一さんが撮影してくれました。

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今回試みたのは、マークスインターナショナルの製品の中でも、長く作られ継続して販売がされているもの(=愛されつづけているもの)をピックアップし、新しさだけではない価値を再発見することでした。
そこでまず始めたのが、製品のリサーチとチームによるディスカッション。「意味」を探し、そして新しい名前をつけることでした。それはあだ名、ニックネームともいうもので、仲の良い友達や、愛用の品に愛情を込めてニックネームをつけることに似ています。

DUENDEの人気商品「STAND!」はティッシュボックスが立ち上がる過程をスローモーションのように表現しています。ここでは映画「2001年宇宙の旅」におけるモノリス参照しています。そして製造のプロセスを詳らかにしたような展示は、マークスのものつくりのプライドと姿勢を伝えるものでもあります。

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人気のWECK(ウェック)の保存容器は工業製品の佇まいを感じさせる展示。かわいらしさではない、インダストリアルな反復の中にある美しさを表現しています。ニックネームは「苺フォーククラフト」。苺はいわずと知れたウェックのトレードマーク。そしてフォーククラフトとは「民藝」の意味です。1900年に製造が開始されたこの器は常温保存容器の元祖といってもいいもの。ドイツというデザイン、工業製品の先進国でうまれたインダストリアルなデザインです。この製品がうまれた数十年後に同じドイツにバウハウスが誕生しています。ガラス本来の色をした容器は、どこかバウハウスの理念のもと生まれたイエナガラスの製品を思わせる色、かたち、佇まいです。また民藝の名もなき職人がつくり出す生活の道具、そして用がもたらす「用の美」にもつながっているように思います。
そしてドイツのおばあちゃんの家の食器棚には今もウェックの保存容器があると言われているほどポピュラーなものでもあります。おばあちゃんが使っているものを今の日本の若者は、かわいいと言って愛用しています。いわば、現在のかわいいが、100年前のドイツのおばあちゃんの家の中に眠っている訳です。こんなところに新しさというものの価値の更新があるような気がしています。

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今回の展示でもたくさんの人が足をとめていたのが、家具にキャスターが付いたワゴン「PEPE」の展示でした。
このワゴンには「ホイールユートピア」というニックネームをつけました。ストーリーブックの中には家具に「タイヤ」がついたときに生まれたであろう自由な感覚(=ユートピア感)をテキストで表現しています。PEPEをトンネルにミニカーが走るハイウエイの展示は、そんな私たちの意図を汲み取った田中さんのスタイリングです。

一列に並んでいるのは大小さまざまなタイヤがついたミニカー。キャンピングカーもあれば、リムジンカー、タクシー、パンダがのったトラックもあります。ここには飛行機や電話、写真機やコンピュータが生まれたときの高揚感や開放感をともなった壮大なストーリーが、タイヤが付いたPEPEにも同じようにあてはまるのではないかというおとぎ話のような仮説をたてています。
部屋の片隅に置かれたひとつの家具にそんな「大きな物語」が秘められているとしたら。そんな価値の更新により「新しさ」や便利な機能以外の別の価値が製品に生まれるかもしれない。そんなところにサスティナブルでロングライフな価値観、新製品に付けられる「NEW」というシールにはない本質的な新しさがあるのかもしれません。

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展示台の上に椅子が展示されています。ふたつの肘掛けはよく見るとDUENDEの小さなサイドテーブル「Companion」です。2008年に生まれたこの家具に実際のユーザーから寄せられた、ソファの横に置くと肘掛けにもちょうど良い、という声をもとに生まれた展示のアイデアです。このニックネームは「肘・スティル」です。全体のコンセプトを考えた和田さんは、このニックネームを思いついたときに、製品に新しい名前を与えるというこのアイデアはイケると思ったそうです。このようにユーザーからのリアルな声の蓄積があるのも単なる新製品は持ちえない大きな価値です。デザイナーや作り手が想像もしなかったような日用の中で更新されるアイデアのフィードバックも、すでにこのテーブルを使っている人、そしてこの製品とこれから新しく出会う誰かにとって新製品にはない「新しさ」ではないでしょうか。

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展示台には冊子のページがピッタリ収まる切り込みが入っています。今回什器は素晴らしい精度の出来映えで、これも展示をクオリティを高いものにしていました。

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今回、唯一の新作は「TRE」も手がける建築家の芦沢啓治さんがデザインしたDUENDEの「DUE」。これは大人と子供が兼用できるというコンセプトをもったラックです。そこでついたあだ名は「グラデーションエイジ」。
子供は大人が言わなくても大人がやっていることを見ようみまねで真似をする。そんな子供と大人の境界線は曖昧である。僕らは気づいた時に、社会から大人だよといわれる。大人と子供の間には明確な境界線がある訳ではなく、そこにあるのは二色の水彩絵具が水に溶けて混ざり合うその境目にある曖昧なグラデーションなのかもしれない。そんなちょっと甘酸っぱい思いも想像させてくれるラックって他にはないと思いませんか。

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展示会場突き当たりには、ノングリッド軍司匡寛さんが手がけた今回の意味>新のメインビジュアルが、壁一面をキャンバスに大きく展示されています。書かれている言葉は、imishinのアイテムたちのリサーチから導きだされたキーワードです。例えば右上の「猫一匹分」は、日本人のティッシュの年間消費量が平均的な猫の体重である4kgと一緒という、DUENDEのティッシュケース「STAND!」と「PICCOLA」のティッシュに関するリサーチを通じて導き出された言葉です。

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こちらも会場で特に女性に人気だった展示作品。「TUBE&ROD」は天板と支柱の関係性がコップとストローに見立てられ、木製ロッドの支柱が水玉模様やグリッドに装飾されたまったく新しいイメージで展示されました。

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会場はオープン初日から大勢のお客様で大盛況。冊子を片手に皆さん作品の背景に思いを巡らせているようでした。

インテリアライフスタイルトーキョーにおける「意味>新」展。
ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
今の時代、ユーザーもデザイナーも新製品という意味での新しさを本当に求めているのでしょうか?その答えは明確には分かりませんが、新しいもの、愛され続けているもの(=スタンダード、定番)、そのふたつのものを人々は程よいバランスで求めているように思います。私たちの答えは、必ずしも新製品でなくても、そこに違った角度からのまなざしや、時代や環境によって変わる新しい背景があれば、その新しさは更新できるのではないか、というものでした。そしてそれは新たに発見された言葉やイメージ、グラフィックなどのビジュアルで具現化することができるかもしれない。そのことが新しさと同じようにそのものの価値の更新に繋がるのではないだろうか。「意味」がユーザーやデザイナーが本当に求めている「新」に変わること。そんなことをささやかながら試みた展示が「意味>新」でした。
そんな新しさというものに問いを投げかけ、愛され続けているものが持つ意味を探るマークスインターナショナルの取組みは始まったばかりです。今後の展開にもぜひご期待ください。

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Exhibition Date:
「意味>新」展
主催(株)マークスインターナショナル
企 画:デザインの研究所
コンセプト:和田健司(デザインの研究所)
会場構成デザイン:軍司匡寛(Non-Grid)、寺田 泰(PARKWAY)
展示会グラフィック:軍司匡寛(Non-Grid)
テキスト:加藤孝司
写真:小野田陽一
会場スタイリング:田中美和子

web: http://www.marcs.co.jp/imi-shin/
Instagram: imishinten

interior life style TOKYO
会場:東京ビッグサイト 西3ホール 3-002
会期:2016年6月1日(水)-6月3日(金) 会期終了
時間:AM10:00~PM18:00

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平