1. TOP>
  2. Diary>
  3. 徳島へ

Diary

徳島へ

2016年05月05日 

L1257324

先日、初めて徳島を訪れた。
阿波踊り、徳島ラーメン、鳴門のうずしおくらいしか徳島のことは知らないけど、本州からは切りはなされた海に浮かぶ島、自然が豊かな四国にある県というだけで気分は高まる。
徳島阿波踊り空港から、今回の取材でお世話になる大谷焼の窯元の方に車で目的地まで連れて行ってもらう途中で目に入った「阿波銀行」の看板にも過剰に反応してしまう。ファストフードやファストファッションのお店の看板が並ぶロードサイドは、均質化する郊外そのままだけれども。

L1257327

到着した時刻はちょうどお昼前。真っ先に向かったのは地元でも人気の徳島ラーメンのお店。厨房に対しコの字型にカウンターが配置された飾り気はまったくないが清潔な店内。
お店に入った頃はお昼前ということもあり、客は僕らだけだったが、食べ終わる頃にはぞくぞくと客がやってきた。みんなラーメンか大盛りのどちらかを注文していく。
徳島ラーメンは濃口醤油で味付けした豚骨スープ、トッピングされた真っ黒な豚バラ、そして生卵というルックスで知られる、ラーメン好きなら知らない者はいないご当地ラーメンである。

IMG_4358

「いのたに」の中華そばには生卵は入れないとのこと。濃口、どろどろスープのイメージだったが、意外にスープはあっさり、醤油の風味が香ばしい。しゃきしゃきの細もやし、そしてチャーシューの代わりにたっぷりのった甘辛く煮た豚バラがやわらかくてうまい。
豚骨ベースのラーメンは日本中各地にさまざまあるけれど、徳島ラーメンが豚骨ベースのラーメンになった理由は、県内にハム工場があり豚骨が容易に手に入ったからだといわれている。あの日本ハムは徳島が創業の地だ。
実は徳島は同じ四国のお隣の香川がうどん県といわれるだけあって、「たらいうどん」といわれる名物もあるほどうどんもうまいらしい。この旅では徳島ラーメンにはまってしまったが、次回はぜひうどんもためしてみたい。

L1257337

日本各地には地域の伝統産業があるが、徳島のクラフトといえば大谷焼と藍染が知られている。県内東部、徳島市内からもほど近い大麻町に230年以上の歴史をもつ大谷焼は、いまも徳島を代表する伝統工芸のひとつだ。この地の赤土で陶器をつくったことがその起源といわれ、古くは人が入るほどの大甕で知られ、現在では日用の器などもつくられている。
窯元にはその歴史をいまに伝えるように、主に大甕をつくるために100年以上前につくられた登り窯も残る。

L1257358 - バージョン 2

今回は、この地に130年続く大谷焼の窯元である矢野製陶の五代目が手がけるSUEKI CERAMICSの工房を訪れるのが目的であった。SUEKIは東京のライフスタイルショップなどでも人気のデイリーなテーブルウェアなど知られるセラミックブランド。日常で使いやすいモダンなフォルム、独特の色と質感をつくりだす釉薬に特徴があるモダンな器を手がける。

L1257364

別注で猫用の水飲み器を手がけており、その製作プロセスをいろいろと見せていただいた。
材料には大谷でとれる赤土や阿波の青石など、地元産のものも選び抜いたものも用いる。
土、色、かたちをつくるそのすべてのプロセスに共通するのは繊細な手仕事。ものづくりの現場はいつもわくわくする。

L1257397

IMG_4398

夜は徳島駅周辺を散策した。
駅から数百メートルも歩けば、徳島市内中心部に寄り添うように横たわる眉山のふもとにたどり着く。提灯をもしたかたちの観光施設でもある阿波おどり会館には夜でも明かりが灯っている。

L1257407

IMG_4405

阿波おどりならぬ徳島の阿波尾鶏を満喫した、早めの夕食の後に食べた本日2杯目の徳島ラーメンは、こってり濃口の徳島ラーメンの名店「東大」へ。こちらはテーブルに置かれた無料の生卵を始めたお店としても知られている。お昼に食べた「いのたに」のラーメンとは同じ地域のものかと思うくらい、まったく味わいが異なる。麺は同じ細麺でも、こってりとしたスープが麺によく絡む。テーブルに置かれた生卵はいくつ食べても無料。どんぶりの中に割って甘辛い豚バラに絡めて食べてもよし、麺に絡めてもよし。卵が溶け出したスープはまろやかな味わいがやみつきになる。余談だが、翌日帰りの空港でも徳島ラーメンを一杯食べた。

L1257410

夜の駅構内が好きだ。券売機の上の路線図をみているだけでどこか遠くに旅をしている感覚になる。
L1257417

翌朝は早朝から街をぶらついた。「キハ」の古めかしい車両も現役だ。

L1257423

徳島市内にはいくつもの川が流れる。橋をわたるたびに心持ちが変わるのは僕だけだろうか。
水源をお隣の県である高知にもつ、県内を東西に大きく横たわる吉野川は、暴れ川としても知られる総延長194kmという巨大な川だ。徳島市内にもその吉野川水系としたいくつもの川が流れている。
市の中心部はその吉野川を水系とする新長川と助任川にはさまわれた、ひょうたんのかたちをした中州となっているという。

L1257425

川沿いには木材店も残る。河口の街ということで、江戸時代から明治にかけては、上流の山から伐り出されたスギ、ヒノキなどの林業の木材集散地として栄えた。その林業をなりわいとした木材商のなごりだろうか。

L1257435

L1257438

いいパン屋がある街はいい街だ。それが僕の持論。街歩きをしながらパン屋、そしてうどん屋を探すのも散歩の楽しみ。坊やのキャラクターもかわいい県外にもファンの多い「タローパン」は、国産小麦を使用した甘めの菓子パンがおいしかった。

L1257444

L1257447

街を鳥瞰することができる眉山山頂にもケーブルカーでのぼった。
吉野川河口も見渡すことができる。市内中心部を貫くように湾にむかって川が流れているのがよく分かる。山頂には、イノシシ、ハブに注意の看板も。

L1257450

L1257455

IMG_4447

徳島市のインテリアショップは中心部ではなく、周辺部に多くある印象。古民家を再利用したお店や、広々とした敷地に経つショップのつくりが都心では考えられないくらい贅沢だ。

L1257460

今回の徳島滞在は地元の方の案内もあり、さまざまなものをみることができた2日間だった。ちまたではなにもないのが徳島の魅力といわれることもあるそうだが、豊かな海の幸と山の恵み、かつて商業都市として栄えた面影を感じさせる多様な庶民文化、そして伝統あるクラフトなど、徳島にはかずかずの見どころがあると思った。近年では里山にある神山町がIT企業のサテライトオフィスや、アーティストインレジデンスで注目されるなど、地域をあげてクリエイターを中心とした文化的な移住も積極的に推進されている。豊かな生活の場であることはもちろん、またアートだけでなく、仕事の場としても注目を集め、ここで育まれる文化や人の繋がりも生まれている。今後も徳島に注目していきたいと思った。

« 4月 2016年5月 6月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平