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民具木平の市場調査 第12回 雑種採集 ~後編~ & EIZO FlexScan EV2730Q  ”Hybrid Collection ~Latter Part~ & EIZO FlexScan EV2730Q”

2016年05月30日 

 

はやいもので5月も末。2月26日からはじまった「雑貨展」も残すところ僅かとなってしまいました。

オープンするまではずっとヒヤヒヤと心配していた展示も、はじまってみるととても好評で、あらためて雑種たちのもつ地力と、作り手の魂の重さに感服しています。

自分自身こんなに長い展示に参加するのははじめてで、「雑貨展みましたよ」とか「よかったよ」とか言ってもらったり、「どれがあなたの展示だかわからなかったわよ」とか「よくわからなかったよ」とか言われたり、インターネットで面識のない方が自分の展示作品の写真をweb上にアップしてくれてたり、記事にしてくれたり。いままでそういう経験をしたことはほとんどなかったから非常にうれしかったです。なので正直この祭りが終わってしまうのはとても寂しい。

寂しいけれど、まあ、次に進まなければいけないわけで、最近は雑貨展効果も相まって空間系の仕事の比率も増えてきて、A3プリンターとマッキントッシュ用の外部モニタを必要に迫られて買ったりもしました。

そういうわけで、今回は前々回の続きの「雑種採集/Hybrid Collection 」でオブジェクトを展示をしている「雑種」のリサーチ記録写真(キャプション付)の後編をお届けします。

これだけの雑種が一堂に会する機会もそうそうないと思いますので、まだご覧になってない方は是非会場へ脚を運んでいただけましたら幸いです。

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鳥よけ

東京都 作者不詳

光ディスク,ひも

光のキラキラで鳥を寄せ付けません。

Bird Repelling Tool

Tokyo author unknown

Optical disc, string

The glittering of the light keeps birds away.

 

37

照明

東京都 60代 男性 音響技師

銀紙,テープ

光がもったいないからつくりました。

物品提供:田口和典

Lighting

Tokyo 60s man sound engineer

Silver paper, tape

I just made it because the light was going to waste.

Product providing:Kazunori Taguchi

39

照明

東京都 30代 女性 日傘作家

傘,布,ランプ,コード

傘で照明をつくりました。たくさんの電球を一つにまとめるのに苦労しました。

物品提供:ひがしちか

Lighting

Tokyo 30s women parasol artists

Parasol, cloth, lamps, code

I made this lighting fixture out of an umbrella. It was hard to put all of the lightbulbs together.

Product providing:Chika Higashi

51

ステアリングフック

東京都 50代 男性 エンジニア

傘の持ち手,針金

建物の梁からステアリングを吊り下げています。今はバンパーの収納に困っています。

物品提供:株式会社 ISUZU SPORTS

リサーチ協力:DRIVETHRU

Steering Wheel Hook

Tokyo 50s man engineer

Handle of umbrella, wire

I use it to hang steering wheels from building beams. Right now I need a way to store bumpers.

Product providing:ISUZU SPORTS

Research cooperation:DRIVETHRU

65

ちりとり

東京都 作者不詳

一斗缶,木

たくさん塵がはいって使い勝手が良いです

Dustpan

Tokyo author unknown

Cans, wood

It’s convenient because it can hold a lot of dust.

76

タオル掛け

東京都 30代 男性 自営業

ラジカセ,木

学生時代調布の牛丼屋で天井から吊られているラジカセを見ていて、逆さにすればタオルハンガーになると確信しました。

Towel Hanger

Tokyo 30s man self-employed

Boombox, wood

When I was a student I saw a radio hanging from the ceiling of a beef-and-rice shop and knew it could be made into a towel hanger if it was turned upside down.

77

石鹸ネット

東京都 作者不詳

みかんのネット,レモン石鹸

泡立ちがよく水切れもよい。非の打ち所が無い。

リサーチ協力:三輪ノブヨシ/神保匠吾

Soap Net

Tokyo author unknown

Net of oranges, lemon soap

It gets nice and foamy and rinses out well. It is absolutely perfect.

Research cooperation:Nobuyoshi Miwa / Shogo Jimbo

92

ブラシ洗浄器

東京都 30代 男性 自営業

ガラス瓶,蓋

シンナーが揮発しないように蓋には必要最小限の穴が開けられています。

Brush Cleaner

Tokyo 30s man self-employed

Glass bottle, lid

The lid has only the minimum necessary holes to keep the thinner from evaporating.

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コーヒーカッププランツ

和歌山県 作者不詳

陶器,植物

通行人の目を楽しませてくれます。

Coffee Cup Plants

Wakayama author unknown

Pottery, plant

People passing by enjoy seeing it.

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ケーブルの皮膜剥き

東京都 60代 男性 音響技師

カッターナイフ,合板,ビニルテープ

ケーブルの外側の皮膜だけに切れ目をいれて剥くための道具です。

物品提供:田口和典

Cable Stripper

Tokyo 60s man sound engineer

Cutter knife, plywood, vinyl tape

This is a tool for cutting and stripping the outer insulation off of cables.

Product providing:Kazunori Taguchi

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柄杓

神奈川県 60代 男性 無職

アルミ鍋,竹

植物の水やりに作りました。普通の柄杓は小さくて使いにくいので。

Dipper

Kanagawa 60s Man unemployed

Aluminum pot, bamboo

I made this to water plants. Ordinary dippers are too small and hard to use.

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鉄アレイ

神奈川県 60代 男性 無職

鉄,縄

溶接して作りました。金にしたのは気分を上げるためです。

Dumbbell

Kanagawa 60s Man unemployed

Iron, rope

I welded this together. I made it gold to lift my mood.

DSC_5340

DSC_5309

 

EIZO FlexScan EV2730Q

表示面積が475.7×475.7 mmの正方形で、A3を縦でも横でも実寸表示が可能。ちょっとしたカフェテーブルの天板くらいの大きさがあります。

結論として、なんでいままで正方形じゃなかったんだろう?と思ってしまうくらい、つかいやすく、体感的に同じインチ数の横長のモニタよりも断然情報量が多く感じます。また、モノとしての佇まいも好みです。

テーブルに例えると、大きな作業台を手に入れたような広さの余裕と、円卓のような無指向性感が快適かつ新鮮です。

近い将来、もうひとつの標準となりうる可能性を感じさせる存在のモニタです。

「雑貨展」

会期:2016年2月26日(金)~6月5日(日)

開館時間:10:00〜19:00

休館日:火曜日(5月3日は開館)

会場:21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)

東京都港区赤坂 9-7-6

http://www.2121designsight.jp/program/zakka/index.html

一瞬を生き、一生を記録する

2016年05月25日 

まるで呼吸をするかのように、写真を撮るという行為が日常化したこの時代。
携帯カメラが台頭し、instagram、facebook、twitterなどを始めとするSNSの浸透によって、
誰もが気軽に写真を撮って、発表し、そこから生まれるコミュニケーションがある。
このSNS時代の写真表現もまた、100年後には歴史となって、世界中の美術館などで
未来を生きる人たちに鑑賞される日がきっと来るのだろう。

 

IMG_2613
ジャック=アンリ・ラルティーグの個展、

「幸せの瞬間をつかまえて」を観るために埼玉県立近代美術館へ訪れた。

1894年、フランス・パリ郊外のとても裕福な家庭に生まれたランティーグは、
アマチュアカメラマンだ。
7歳のとき、写真好きの父親にカメラを買い与えられたことをきっかけに写真撮影に熱中し、
生涯、自分のためだけに、自分の愛する家族や物たちとの時間を記録し続けてきた。
若きランティーグが生きた19世紀末から第1次世界大戦勃発までの期間、
パリはベル・エポックと呼ばれる時代を歩んでいた。
ベル・エポックは。1900年のパリ万博を一つの頂点としながら、
あらゆる分野で新しいものが誕生し、現代生活のベースが築かれた転換期だ。

 

その時代をど真ん中で生きた彼の撮った写真は、大衆文化に花開いたパリの躍動が
鮮明に映し出している。ごく私的な目線ながら、結果的にその貴重なベル・エポック期が
映し出されていたことも、ラルティーグの写真の評価に繋がっていることは間違いない。
そんなランティーグの写真が脚光を浴びたのは、彼が69歳のとき。
初の回顧展がニューヨーク近代美術館で開催され、以来、その名は世界中に知れ渡ることになる。
(日本では1986年、銀座プランタンで初の個展が行われている。)

 

生涯アマチュア精神を貫いたランティーグ。
アマチュアといえば、もう一人の写真家、植田正治を思い出す。
故郷・鳥取を拠点に作品を発表し続けた植田正治もまた、
家族をモデルにしながら純粋に写真を楽しんだアマチュアカメラマンだ。
両者は生きた時代も文化も土地も違う。
けれど写真を通して見つめた世界には、どこか共有するものがあるように思う。
それは、幸せであることを常に恐れず「幸せであった」二人だからこそかもしれない。
この幸せな瞬間はすぐに過ぎ去ってしまうという、切実さ、覚悟のようなもの。

 

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(「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」 図録より フロレット 1956年)

ランティーグの個展ではカラー写真も多数展示されていた。
愛する人々との幸せな時間。一瞬で過ぎ去ってしまうその刹那を「せめてなら」と、
写真という記録に留めておこうとしたのか。
シャッターを切る瞬間は、どんな気持ちを込めていたのだろう。それは祈りのようだったのか。
ただただ美しいと思っていたのか。

何れにしても、深い情熱を持って、彼は一瞬を生き、一生を写真で記録した。

私はその記録を眺めながら、ラルティーグから少しだけ、
生きることに、勇気をもらったような気がした。

時は止まず前に進んでいくしかないから。

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あの時のイタリアデザイン

2016年05月20日 

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ここにテーブルのような、背の低いスツールのようなオブジェがある。
これは、イタリアデザイン界の巨匠にして神とも言える存在であるエットーレ・ソットサスが1965年にポルトロノヴァ社から発表した作品である。
ウォールナットの二つの円盤が一本の支柱で支えられた構造は、どこか古代の神秘的なオブジェ、ヴァナキュラーで、プリミティブなトーテムポールのようにも見える。と思えば、木材のオーセンティックな存在感と合成素材の鮮やかなオレンジ色との組み合わせは、どこかポップアートの感性も感じさせる。

ポルトロノヴァは1957年にセルジオ・カミーリィによって設立されたイタリアの工房。1958年にはエットーレ・ソットサスがアート・ディレクターに就任。時を同じくしてソットサスはオリヴェッティのデザイン・ディレクターも兼任するようになる。ソットサスはオリヴェッティ社であの有名な赤いプラスチックのタイプライター「ヴァレンタイン」をデザインする。ソットサスはポルトロノヴァ創設の初期の頃から既に陶器から家具まで幅広くデザインを手掛けている。
このスツールは同時期に手がけられたシンボリックで、鮮やかな色彩と力強いかたちをもったセラミックのオブジェにも通じるデザインである。

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エットーレ・ソットサスについてはこの本に詳しい。

なかでも1969年から1970年にかけれ制作された有名な陶器作品シリーズ「タントラ」と「ヤントラ」は、1956年に陶器の製作を始めたソットサスが、60年代初頭のインドへの旅で得た刺激的な、アジアへの憧憬が影響として色濃く刻印された、ギャラリーのみでわずかに制作された作品である。「暗闇に於ける陶器」とソットサスによって暗示と啓示を込められた作品群と共に、神秘主義に触れたボヘミアン・ソットサスの生き方の、陰と陽、暗黒という深淵を表現しているものともいえる。そもそもヤントラとはマントラ(呪文の一種)を効果的に唱える為の簡易的な道具の事であり、それは人間が生きていく上で願い、切実にあみ出された、より良く生きるためえの創造的な道具そのものだった。

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1972年にニューヨークのMOMAで行われたイタリアデザインの大展覧会「Italy : The New Domestic Landscape」展の図録より、ポルトロノヴァのページ。

1960年代はアーキズームやスーパースタジオなど若いラディカルな思想を持った作家達の重要な作品を矢継ぎばやに発表し、アメリカや北欧デザインに影響を受けつつも、新しいイタリア・デザインの歴史を築いていった時代。
実際に芸術家たちとも接触し、当時既にフランスに帰化していた、ダダ・シュールレアリスムの画家、マックス・エルンストとも作品作りをしている。

時はアメリカのレバノン侵攻、パナマ侵攻を経て泥沼のベトナム戦争へ突入する真っ只中であった。イタリア国内も、新しいかたちの前衛政治組織としての共産党の時代であり、68年の革命を頂点に、潜在的には70年代半ばまで人々のユートピア思想と共にそれは芸術家の中に存続する事になる。
ヨーロッパの60年代は芸術家と若者が等しく政治に結び付いた激動の時代だ。それは文化的でいる為には政治的である他無く、芸術とは革命と同義語であった。それは新左翼としてのマルクス主義であったり、毛思想であったり、時代と寄り添うことがイコール思想に反映され、政治がそこにあるユートピアを映す鏡となった。イタリア国内に於いて政治的には社会党が躍進し、中道左派の政権が誕生した。

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雑誌「デザインアディクト」(2007年)。執筆で参加したイタリアデザインを特集したページの柳本浩市さんのコレクションより。

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1974年の「SD」アーキズーム特集号より。現在のイタリアデザインの巨匠、若きアンドレア・ブランジが在籍したアーキズームもポルトロノヴァから作品を発表していた。

しかし、若者たちの政治活動や芸術家達の芸術活動は『サブカルチャー』と呼ばれ、そのほとんどはカウンターカルチャーとして共産党からは皮肉にもブルジョワ的なものとして黙殺された。環境やエネルギー問題が表出しだしたのもこの頃だった。
やがてイタリアデザインはラディカルの時代に突入し、消費社会に異議申し立てをするデザイナーたちはモノをデザインすることを休止する。モダニズムが完全にはなしえなかった古いものと新しい価値観の融合、そして既成概念の解体をよりしなやかにかつ強固に推し進めていく。

ポルトロノヴァは、ソットサスのウルトラフラゴーラを含む60年代から70年代にかけての実験的かつ重要な作品や、ロマツイ/ダルヴィーノ/デ・パスのジョー・ソファ、近年ではマンジャロッティ、ロン・アラッド、ナイジェル・コーツらの作品を発表。60年代イタリアの切実な生活向上の要請に企業として応えた典型的なかたちとして、デザイン史においてその功績は少なくなく、昨今のポストモダンデザイン熱再燃により再び脚光を浴びつつある。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平