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Diary

[ Like A Broken iPhone | アイフォン割れた ]

2016年04月25日 

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よい絵、よいイラストの基準とは一体なんだろう。
その判断の最終的な拠り所は、「好みか好みでないか」によるのかもしれないけれど、
感覚的なそれに、すべてを委ねてしまうのは、何かちょっと違う気がしている。
私は編集者という仕事柄、日常的にイラストレーター、
画家の方とお仕事をご一緒する機会に恵まれている。
企画に応じて、お願いする方は毎回違う。アートディレクターと相談しながら、
そのひとりを決めるのはとても楽しい時間だ。

 

イラストレーターで映像作家のオオクボリュウさんもまた、
そういう過程を経て、あるフリーペーパーの連載イラストを描いていただいた。
こちらが描いて欲しいとお願いするモチーフに対する見えない余白を感じてもらいながら、
さらにその余白をちゃんとご自身のクリエーションに昇華していくオオクボさん。
その様子に、私は毎回高揚し、そして完成した絵を心待ちにしていた。
そんなオオクボさんが個展をするということで、DMをいただいた。
タイトルは、 [ Like A Broken iPhone | アイフォン割れた ]。

 

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情緒的な要素を感じないそのタイトル。
そしてそのDMに描かれた絵を観てすぐに「すごく気になる」と感じた。
さらに素晴らしかったのが、その個展に寄せたオオクボさん自身のステートメント。

 

——
生活をしていると「これを作品にしたらどうだろう」「こんな展覧会はど
うだろう」と思う瞬間がありますが、そうやって心を動かされるモチーフ
や出来事は何気なく、あまり驚きのないものが多いような気がします。 
例えば、「iPhone を落としてしまった」といった些細な出来事でも、ぼく
にとっては絵を描くのに十分な動機になり得ます。そうした日々の想像が
ようやく頭の中で一つの形になったので、作品を作って展覧会をすること
にしました。大きなギャラリーで個展をするのはこれがはじめてですが、
楽しんでもらえたら幸いです。よろしくおねがいします。
          (オオクボさんの個展に寄せたステートメントからの抜粋)
——

 

自分の現在地からしか、世界は広がらない。
自分から遠い場所、それは例えば外側に溢れる情報、知識だったり、
他者の体験や経験だったり。そこから答えを得ようとしても、それは難しいのだ。
自分のほんのすぐそばに、近くにあるささやかなディテールに、
どれだけ敏感でいられるのか。また注視できるのか。
仕事をするときも、生活するときも、
自分の足下や内側からふつふつと転がっている小さなつぶから、
あらゆる世界を映すことができるんだと、そんなことをぼんやりと身に感じていた私には、
オオクボさんのこのステートメントが、とてもビビットに伝わってきた。
もちろん、これは私の個人的な解釈だ。でも作品とは、アートとは、
そうやって個人の内側に抱えた物語と作品が、どう結び付いていくかだと思う。

 

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[ Like A Broken iPhone | アイフォン割れた ]は、4月8日(金)〜4月24日(日)まで、
CALM & PUNK GALLERY(東京・西麻布)にて開催されていた。

会場は、アニメーションやペインティング、ドローイング、テキスタイル、立体作品など
新作100点が展示されていた。作品には時間軸があり、その順番通りに鑑賞する楽しみもあった。

 

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会場を一周しながら、ひとつだけ動揺、そして後悔をした。

作品がほとんど売約済みだったのだ。大好きな作家さんの展示は、できるだけ早めに足を運ぶべきだと
改めて反省…..。そんな私の気持ちにそっと寄り添ってくれたのは、
会場で販売されていたキーホルダーだった。

このキーホルダーを早速リュック取り付けて会場を後にし、
その作品の余韻とともにしばらく歩き続けた。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平