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Diary

I Am The World

2016年04月10日 

東京に住んでいて良かった、と思う瞬間。
音楽、アート、デザイン、舞台、映画……。
世界中の様々な生もの=本物の作品に出会える場所が多いということ。
それは自分にとって絶対に欠かせない営みだ。

 

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薄手のコートを手放すほど、暖かさが増す日々のなかで、
東京は観たい展覧会や映画が目白押し。
そんななか、本日が最終日となった「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」展
@東京ステーションギャラリーへ駆け込みで行ってきた。
ジョルジョ・モランディ。
20世紀前半に活動したイタリアの画家。
生涯独身、故郷のボローニャを離れず自宅兼アトリエで過ごした
彼の作品のほとんどが静物で知られ、それも水平の机の真ん中にいくつかの花瓶などを
密着して配置したシンプルな構成で知られている。
私がモランディを知ったのは、イタリアの写真家、
ルイジ・ギッリの写真集「Atelier Morandi」との出会いが最初だった。
モランディのアトリエに半年間通い続けたルイジ。

彼の写真を通して見るモランディのアトリエは、それはもう質素で簡素だった。
何十年もアトリエに置きっ放しにしてわざと埃を払わずにいた道具の数々。
でもそこに光が差すと、それはこの上なく美しかった。
そんなモランディの作品が東京にやってくる。
それも、日本では3度目、17年ぶりとなる展覧会というから見逃せなかったのだ。
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(掲載写真は、「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」展のカタログより抜粋)

 

瓶や箱、壺、水差し。
モランディはさほど数のないそれらを主題に、要素を組み替えながら描いている。
よくこれだけの作品を!
それはアーティストというよりも、科学者や研究者のような緻密なストイックさを感じる。
会場では水彩絵具で描かれた輪郭が溶け合った静物画や、風景画、
そして身内や近しい知人にしか渡さなかった花の絵も存分に観ることができたのがうれしかった。

 

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ところでいったい、彼の中にはどんな宇宙が存在していたのか?

 

「実際に見ているもの以上に、抽象的で非現実的なものは何もない」

 

ふと会場で飛び込んできたモランディの言葉に、私は深い安堵に満ちた。
世界はいつも曖昧で、錯覚で…、世界があるから「わたし」が存在しているのではなくて、
存在しているから「世界」があるんじゃないかとうっすら思ってしまう私に、
モランディが作品を通して「そうだよ」と、ささやいてくれたような気がした。
それはもちろん、作品を通してみた私の世界だから、
モランディが意図した真実にたどり着けていないかもしれない。
でも、私は心通い合えた気がした。その実感だけを頼りにしてもいい。
と思うことは、傲慢だろうか。
モランディはミニマムな題材で、無限の世界を描いていた。
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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平