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Diary

仕立て屋のサーカス

2016年01月25日 

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サーカスという言葉の響きは、人を無条件にワクワクさせる。
物語音楽家 × 裁縫師 × 照明作家 による現代サーカスグループ、“仕立て屋のサーカス” 。
“裁縫師 ”こと、ファッションデザイナーのスズキタカユキさんにお誘いいただき、去る1月15日、
原宿vacantでの仕立て屋のサーカスの公演を観に行ってきた。
会場は超満員。この得体の知れないサーカスグループに、これだけの人が集うというその現実に、
なんだかすごく安心感を覚えたというのは、おかしいだろうか。
というのも、
観なくても観に行った気になってしまうような、
最初から答えが提示された作品や表現が多い時代のなか、
こういう得体の知れなさは、すごくドキドキする。

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やがて白い布で覆われた会場の中心部から、音が鳴り出した。
それは“物語音楽家”のふたり、CINEMA dub MONKSの活動でも知られている
曽我大穂(マルチ奏者)、ガンジー(コントラバス)がかき鳴らす音。
そして布がスズキさんによって裂かれていく度に、二人の音楽家の姿が少しずつ露わになっていく。
布は、ただ心赴くままに裂いているのか、それとも裂いているように見せて実は編んでいるのか。
スズキさんの振る舞いをじっと見つめていると、わからなくなっていく。
そのわからなさがまた、作為的ではなく、
あくまで身体に基づいた行為のように見えて、心地よく思えた。

 

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裂いた布をスズキさんはミシンという楽器を使って、新たな装飾品へと変換していく。
それを美しく照らす光は、渡辺敬之さんの手によるもの。
ふたりの音楽家の身が装飾されるごとに、会場と一体化していき、
やがてひとつの生命体に思えてきた。

 

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公演後の舞台は、観客にそのまま公開されている。
布はまるで自然の絨毯のようで、そこに横たわるコントラバスもまた、
動物のように思えた。ミシンの有様も美しかった。
人は生モノで、すべては一回性の出来事の連続のなかにあるということ。
当たり前のようで、日々失いがちなその実感を、仕立て屋サーカスを通じて、肌感覚で吸収した。
音、布、光で紡ぐ現代のサーカス。
今年に入ってからは、演劇作家で「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大氏さんをゲストに迎え、
言葉を加えたサーカスを起こしてきた彼ら。
東京のひとつの文化として、成熟していくのかどうか。その動向を見ていきたいと思った。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平