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Diary

デザインの秋深まる

2015年11月05日 

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今年の秋のデザイン祭りも後半戦がほぼ終了した。今週のはじめは飛び石で4連休の人もいたようで、都内のどの会場にも多くの来場者が足を運んでおり、街はデザインで賑わっていた。
この写真は、東京ミッドタウンで3日まで開催されていた「MUJI HUT」。
無印良品が、今注目されている身軽な住まいの形としての「小屋」を、深澤直人、ジャスパー・モリソン、コンスタンティン・グルチッチという無印良品とも関わりのある3名のデザイナーとともに手がけたもの。最終日となった11月3日には、小屋の中に入りきれないほどの人が縁側に列をなしていたのが印象に残った。
深澤直人は木の小屋、ジャスパー・モリソンはコルクの小屋、コンスタンティン・グルチッチはアルミの小屋と、それぞれ異なるマテリアルを使い、スケールもロッヂサイズのものから、家サイズのものまで3人3様。都心の超高層ビルの下に、のどかな風情の小屋が3棟並ぶさまが意外になじんでいて、この秋のデザイン祭りの中で個人的には一番楽しめた展示だった。

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会期の初日にみたマルニ木工ショールームでの”MARUNIxALESSI EXHIBITION “LIVING DESIGN(生きている家)”。マルニが得意とする高度な加工技術による木の家具と、インテリアスタイリスト作原文子さんがスタイリングする日用品との組み合わせが絶妙だった。インテリア雑誌やファッション誌で目にする作原さんのスタイリング空間を実際に体験できる空間としても貴重な体験となった。

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ANY TOKYOは出展作品もそうだが、デザイン祭りの展示場所としては、少し中心からは外れた東京・増上寺での展示ということで独自性をはなっていた。昨年も参加していたデザイナー板坂論の今年の新作もやはり写真映えするアートな作品。生命の源に端を発する、複数の電球とコードからなるハートビートのように静かにぼんやりと明滅する照明。生命の根源とインダストリアルとの相関関係を感じる。この時期のインスタグラムにもこの作品はたくさんの写真が投稿されていた。
今年は昨年よりもさらにインスタグラムがコミュニケーションツールとして浸透し、デザイン祭りの各イベントもそれぞれのハッシュタグ付きで投稿されていた。今年はそこでシェアされた口コミ情報を元に展示会場をみてまわるということも、さらに一般的になったのではないだろうか。会期の短いものも多い、限られた期間内でのイベントの楽しみ方としては、有効的だし、数年前には考えもしなかった現象といえる。

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20世紀ミッドセンチュリーを代表するデザイナー、アレキサンダー・ジラードの回顧展「アレキサンダー・ジラード展 – 彼の独創的なビジョンが生み出した世界」も充実した内容だった。数々のテキスタイルのデザインで知られるアレキサンダー・ジラード。ぼくも2000年前後にその仕事に熱狂して、彼が手がけたアイテムを収集したことがある。
こちらは丸の内のハーマンミラーストアで11月7日まで開催中で、まだ間に合うのでぜひ体験していただきたい。

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ジラードはまた、無類のフォークアートのコレクターとしても知られていた。そのコレクションは10万点以上といわれ、主なきあとそれらはサンタフェにあるフォークアートミュージアムに収蔵されている。そんなジラードの血を受け継いだ息子と孫達によるエキシビション「GIRARD CONTINUED ジラードファミリーのクリエイション」がハーマンミラーストアと連動して虎ノ門にあるキュレーターズキューブで8日まで開催中。
こちらはジラードの息子であるマーシャルと、孫であるコリーとアレイシャルの作品を展示している。会場構成もこのたび来日した二人の孫が手がけているという。フォークアート、蛇、目などジラードの重要なモチーフをリフレインするような3人3様の作品には、ジラードファミリーならでは陽気さ、楽天的、鮮やかな色使いという共通点が見受けられて興味深い。

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渋谷ヒカリエの8階にあるaiiimaでみた、「Beyond the simplicity プロダクトデザイン二人展 高須学 (TGD)×坂下和長 (CRITIBA)」も、福岡を拠点に活動する二人のデザイナーの合同展。小さなスペースでの展示でありながら、それぞれのプロダクトがキラリと光る魅力的な展示だった。高須さんとは福岡でもお会いしたことがあり、このたび久しぶりの再会となった。無垢の金属棒を回転軸で削りだした椅子axis of rotationは、椅子として以外にオブジェとしても機能するその精度の高さに驚かされた。

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HAY HOUSE TOKYOでは、世界的に人気のデンマークの家具ブランド「HAY」の家具コレクションの中から新作を中心に発表された。写真はステファン・ディーツのテーブルなどのラインナップが加わったNEW ORDERのオフィスシステムと、新たにHAYのコレクションに加わった日本のプロダクトデザイナー藤城成貴の編み編みのKNOT。藤城はHAYで展開される初の日本人デザイナーでもある。

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NEW ORDERをデザインしたステファン・ディーツも来日。展示会場に顔を見せたディーツをパチリ。ディーツと藤城は来年のミラノサローネで発表予定の有田×オランダの2016/でも恊働している。このように日本のデザイナーと海外のデザイナー、地場の産業と海外のデザイナーとのコラボも近年の大きな傾向のひとつかもしれない。

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代官山T-SITE GARDEN GALLERYで開催された“KARIMOKU NEW STANDARD Exhibition in collaboration with TANK”は、設計施工会社「TANK」による模型のような1/1スケールでの端正な会場構成も注目を集めた。

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MUJI HUTを再訪。

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グルチッチ。

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グルチッチ。

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そしてグルチッチとモリソンに遭遇。

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MAGIS東京ショールームの「Objects by MAGIS」では、そのグルチッチの新作「サムソン ローチェア」が展示。座る人を包み込むような太いアームのデザインは、この椅子の名称のもとになった巨人サムソンに由来する。FLOOATの吉田裕美佳が手がけたデンマークのクヴァドラ社のテキスタイルを用いた会場構成もエレガントだった。深澤直人の新作コレクション「Substance」、マルセル・ワンダース、ロナン&エルワン・ブルレックの新作チェアを中心にした展示。ロナン&エルワン・ブルレックはシボネでの「時を超えて、受け継がれるもの」にもアルテック社からこの春発表された新作「カアリ」コレクションのテーブルやシェルフなども展示され、今年は本人たちの来日はなかったが注目を集めていた。スツール60などアルテックの代表作を手がけたアルヴァ・アアルトが1930年代に発明した「L-Leg」システムを発展させたこのコレクションがまた素晴らしかった。

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普段は訪れることができない建築家やプロダクトデザイナーの事務所を実際にみることができる展示「How Studio」が今年も開催。渋谷・代官山エリアを中心に、サポーズデザインオフィス、みどり荘で行なわれていた角田陽太と野本哲平の二人展にでかけた。

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角田は新刊となった作品集をデスクに積み上げたミニマルな展示、このDairyでもお馴染みの野本哲平くんは角材や酒屋のプラスチックケースなどをつかったプロダクトの展示で、木場にある自身のスタジオを再現した。

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ローテク感溢れる展示風景。当たり前に見えながら、日用にありふれたものでここまでカッコいい展示をする野本の手腕は並大抵のものではない。それぞれのアイテムに触れることができるのも好印象だ。

サポーズデザインオフィスでは、人気のベイクショップのコーヒーとパンも楽しむことができた(会期中のみ。下の写真はマルニ木工東京ショールーム)。

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このようにいくつかの展示会場では人気のサードウェーブコーヒーが振る舞われていたのも今年の特徴。ほかにも、HAYとリトルナップコーヒースタンド、マルニとオブスキュラコーヒーロースターズ、キュレーターズキューブとコーヒーキオスク、カールハンセンとフグレンなど、コーヒーと現代のライフスタイルの親和性の高さを物語るシーンだった。

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デザインとアートのトレードショー「SHOWCASE」では、建築家の長岡勉のフラワーベースや展示台でもあるシェルフ自体と入れ子のようになった作品、レゴブロックのようなセラミック(陶芸)作品をつくり続けている増田敏也の作品が目を引いた。
上の写真のカーテンの向こうに見える白いテーブルの上にある食品サンプルのようものは、実は陶芸作品。陶芸という手の温もりを感じさせるマテリアルであえてデジタルをモチーフとしているところが面白い。

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一見レゴにも見えるが、このドアノブも焼物。面白い。

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最後に六本木のAXISギャラリーで開催中の清水久和「愛のコンティニュアスデザイン展」。日本を代表する7社がデザイナー清水久和と恊働、それぞれの自社製品を開発しながら“ 次のデザイン”を発信する、AXIS誌でも連載の企画が元になっている。展示を見た人たちからの今年ナンバーワンの声も多い本展。こちらについては次回詳しく。

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写真は六本木ヒルズの屋上からみた東京の夕景。都市を照らすこの陽の光のように、これからのデザインが希望の光に満ちたものであることを心から願っている。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平