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Diary

ぼくの『白の消息』

2015年01月20日 

普段何気なく日用品を選ぶ。用途別に、好みのかたちから、長く普段使いできそうなものを選ぶ。そしてものを選ぶときに、色はその人の好みやそのときの気分が無意識に反映されるものだと思う。
いつでも手にしてぱらぱらとページをめくることができるように、そのときどきの気に入りの本を収めている本棚がある。その中につねに定番の一冊としてある本に、山口信博の『白の消息』がある。左のページには下半分に大きく余白を残しテキストが書かれ、右ページには裁ち落としで漂白し晒されたような白いオブジェクトの写真が並ぶ、それほど大きくはない本だ。

この本を見るまでもなく「白」といってもさまざまだ。焼物の釉薬の白、透明という白、無垢という意味の白、まだ出会ったことのないものという意味での白。

自分の身の回りを見渡してみると白がまた多い。本の背表紙の白、器の白、北欧のミルクパックの白、布の白、iPhoneの白、時計の文字盤の白、テーブルの天板の白、白い壁紙。日用品の色として白が多くなったのはいつの頃からだろうか。
そんなものを取り出して並べ、眺めてみるとなぜか心がざわざわする。想像力が働き、イメージが喚起される。そんなぼくの白の消息をたどってみた。

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ピート・ヘイン・イークのセラミック・マグカップ。
平面にのばされた粘土を折り紙のように人の手のひらで成形し、パンのようにふんわりと焼き上げたカップ。素朴だがフォルムへの配慮が行き届いており、造形としても美しい。

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ドイツのHALDENWANGERの衛生陶器。
実用品が持つ美は飾り気がない。そしていつその役目を終えても良いという、その機能がもつ潔さが形にあらわれている。

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Concrete Craftのボーンチャイナ。
スタッキングができる器は、町の食堂でみかける給水機の上に並んでいるグラスの形にも似ているし、北欧のガラスのコップがもつ清々しさも感じる。水を飲むときにコップのようにして使っている。

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アーティストHIMAAの紙コップ。
どこにでもある紙コップは、その機能と生産性を重視して作られたものがもつ、フォルムの絶対的な美しさをもっているとはいえないだろうか。

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1616 / arita japanのラウンドボウル。
有田焼の新ブランドのデザインを京都をベースに活動するデザイナー柳原輝弘が手がけた。マットな質感の陶器は高密度の陶土を用いて焼き上げられたもの。用途を選ばないアノニマスな形が日用使いの器にちょうど良い。ブランド名の1616は日本で初めて陶磁器が焼かれた有田にオマージュをこめてつけられた。

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東屋の波佐見焼の湯冷まし。
広島のライフスタイルショップref.で購入した。複数の曲線が組合わさった優雅ともいえるフォルムだが、機能とデザインのバランスがちょうど良い。お茶を淹れる際に、急須に注ぐ前にこの湯冷ましで適温に冷ましてから淹れると、甘く適度な苦みのあるお茶本来を味わいを愉しむことができる。

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FLOWmarketの薬ボトル「stress killers」。
2004年にデンマークではじまったFLOWmarketプロジェクトのメッセージ性をもった空のボトル。中身はもともと入っていない。たまに眺めてはそのメッセージの意味を考えたりしている。

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福岡の護国神社の蚤の市で買ったオランダのアノニマスな陶器の古いボトル。
携帯用の水筒のようなフォルム、量産品としての機能性、ところどころに入った貫入も味わいがある。

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李朝の皿。
柔らかな土が透けるくらい薄くかけられた釉薬の表情がこの器の持ち味。欠けた縁が金継ぎで補修されている。日用の道具としての器。

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スウェーデンのデザイナー、シグネ・ペーション・メリンのグラス。
やわらかな曲線が美しいグラス。一輪挿しとして使ったり、何も入れずそのまま眺めたりして愉しんでいる。メリンさんは50年代から活躍する女性デザイナー。

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SyuROの真鍮の丸缶。
真鍮は金属の中でも好きな素材。使い込むほどに心地よい色に変色していく素材の風合いは、色で例えれば白のようで、いかような変化も受け入れる懐の深さ広さをもっている。

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アノニマスなステンレス製のビーカー。
すれてキズが入った金属ほど美しいものはないと個人的には思っている。

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ニワトリのための偽卵。
ニワトリ小屋のワラの上にこの偽卵を忍ばせておくというもの。卵の白さ、そして白は新しい命を象徴する色でもある。

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KODAKのプラスチックのフィルムケース。
昔からフィルムで写真を撮影するのが好きだ。半透明のケースにグレーの蓋。ついつい溜まってしまう。片手で開け閉めできるキャップは思いのほか気密性が高い。複数を並べてそのまま眺めているだけでもいいし、旅先ではピルケースとして使っている。

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ヘラ・ヨンゲリウスのビーカー(トールサイズ)。
ぼくが敬愛するオランダ人デザイナー、ヘラ・ヨンゲリウスがオランダの老舗磁器メーカー、マッカム社のためにデザインしたもの。通常より高温の窯で少量分焼くことで、予測不能な歪みが生じる。工業製品に近いものでありながら、個体差が生まれ、それが日用の器の味につながっている。

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スタジオ・ジョブのビーカー。
上のヘラのビーカーをつくっているのと同じ窯、ロイヤル・ティヒラー・マッカムのもの。透明の釉薬でうっすらとスカル模様が描かれているのがおかわりだろうか?

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大治将典がデザインする「JICON」のデザートカップ。
佐賀県有田町の陶悦窯でつくられる焼物。買いやすい価格で日常を豊かにする器だ。

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ヘラ・ヨンゲリウスのB-setのプレート。
こちらもオランダのロイヤル・ティヒラー・マッカムのもの。表面は釉薬がかけられ、裏面は素焼き。使い込み、洗い込むうちに手触りがなめらかになっていく裏面の感触が心待ちになるほど楽しい。

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Papier Laboの紙箱。
紙ものを扱う千駄ヶ谷のPapier Laboの江藤くんが、原稿用紙を使ってつくった箱に僕の屋号でもあるFORMの文字をプリントしてくれた。

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BRAUNの目覚まし時計。
ブラウンは50年代から70年代を中心に20世紀初頭にドイツで生まれたモダンデザインの流れを汲んだ優れたデザインの工業製品を数多く残した。この目覚まし時計は10年ほど前に新品で購入した。真っ白だった型枠部分に微妙な黄ばみが生じており、とかく無機質な印象の工業製品でありながらその経年変化が愛おしい。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平