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Diary

山から都市へ 〜年末年始風景〜

2015年01月05日 

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あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

暮れから、年始にかけて、山から街へ、旅をする機会を得た。毎年この時期になると、旅にでることが多くなる。そのような状態がここ数年続いている。
一昨年には暮れから年始にかけて、東北から中国地方の町へ、日本の食の現状をめぐり訪れた。
この年末には、信州と栃木の山々を近くにのぞむことのできる町を仕事で訪れることができた。

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東京はまだまだ日差しが温かだったのだが、遥か遠くにのぞむことのできる峰々の頂にはうっすらと雪化粧、麓の町には雪がちらつき、雲の切れ間からは日が、一筋の光線となって、その山肌に降り注いでいた。

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この時の目的地に車が近づくにつれ、雪が激しくなり、森の樹々には雪が降り積もっていた。

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森は、あたりの風景を一変させるほど雪化粧をしても、一本一本の樹々はそこにつけるいろとりどりの果実で、一面に白く覆われたその世界で、その存在をささやかに主張している。

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雪に覆われた大地は、余計な色や形をもたない。白くニュートラルな存在感をもった雪は、そこにあるもののすべてをフラットで等価値なものに変容させる。雪がもつその作用が、どこか人の心持ちを落ち着かせ、雪にあらがうのではなく、共に生きることをうながす。

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田舎道を歩いていると、都会の暮らしではついぞ目にすることのない日常の風景に出くわすことがある。干し柿が軒先に吊るされた光景も、そこで暮らす人びとにとっては身近な習慣であり、当たり前な光景なのかもしれないが、ぼくには新鮮に感じる。都会では手に入れることのできないささやかな豊かさ。時にこれらの村々では、人びとは日常に必要なものを、無理のない範囲で自分たちで手づくりしている。そんな生活の知恵のようなものが、日常の風景を愛おしいものに変容させる。

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今にも雪が降り出しそうな色をした空は、いつもより低くみえる。それが逆に、どこか守られているように感じるのは、気まぐれにこの町を訪れた旅人の気軽さ故だろうか?人影がまばらな駅前通りの交差点の信号機を見上げる者もいない。

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一方、都心の正月も、繁華街をのぞいて、人影もまばらで、どこか寂しく、だがとてつもない開放感をたたえている。子どもの頃から、ほんの僅かなこの時期のそんな東京の街を歩くのが好きだった。
普段は人で賑わう高架下も、車も人の往来もめっきり少なくなり、昼間でもひっそりと静まり返ったようになる。

いつも見慣れた街の植栽にあたる光の美しさ。そんな身近な光景を驚きとともに気づかせてくれるのも、新年のこの時期の感覚が研ぎすまされるこの時ならではかもしれない。

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普段なら、玄関や、通りの向こうからせわしなく人が出入りする街の路地も、外に漏れ聞こえるテレビの音で、家の中に人の気配は感じるものの、物音ひとつなく静まりかえっている。

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巷のざわめき、喧噪に惑わされずに、そこにある当たり前なことを見過ごさず、些細な日常に驚きをもって気づけるような、今年もそんな一年にしたいと思う。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平