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Diary

食をローカルにつなぐ

2014年12月05日 

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無理がなく、楽しく、本当に心地よい食とはどんなものだろうか。ストイックになりすぎることなく、なおかつ美しく、そして心おだやかに豊かにしてくれるもの。
食は人間に根源的なものだが、昨今の食ブームは、単に美味しいものを食べたいとか、どこどこ産であるとか、有名人が食べたであるとか、どれだけレアであるなど、かつて人びとが食に求めていたものだけではない、新しい価値を求めているような気がする。
季節のもの、地のものはもちろん、誰がつくって、どこで、誰と食べるか。つくり手のどんなところに共感するのか。その理由は?舌やのどで感じる味覚より先に、気持ちや心に響く食べ物や、みんなで集まれる場所が必要とされているのではないだろうか。

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個人的に彼らの東京広報部長を自認する広島のSUnDAYS(古本浩、オリシゲシュウジ、カルロス、國分聡、清水礼子)という食をめぐる活動を展開する仲間たちがいる。
SUnDAYSは広島で結成され、市内各所に出現し、時間と空間をジャックする、ジュース&フード・バー、デザイン、イベントなどを企画するクリエイティブグループ。お店などの特定の場所や、次の出店の具体的なスケジュールを持たず、つねに気の向くまま、つながりのあるあの店に出没し、おいしい飲みものやフードと会話と笑顔で場を湧かし、時間がくれば心地よい余韻をその場所と訪れた人びとの心に残し帰っていく。
だからこそ、広島の町に暮らす特定の人びとは彼らのトリコになり、次の出会いを心待ちにしている。

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お好み焼き、ラーメン、がんす、むさし、ピオーネなどなど。大好きな広島のソウルフードはたくさんあるが、今、かの地では立ち飲みが面白い。SUnDAYSのメンバーである古本浩くんに連れていってもらったお店が心に残る。そんな広島の新しい立ち飲み文化を牽引する存在が、『そらや』だ(広島県広島市八丁堀4-7 日東ビル 1F)。日本海で獲れる海のものと、この地方でつくられる日本酒をきわめて良心的な価格でいただくことができる。

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人との距離感が程よい店内では、お客同士がテーブルやカウンターを譲り合い、それぞれのスタイルで美味しい酒と肴を楽しんでいる。隣り合う者同士が一声かけあってから、それぞれの宴を開始するので、肩や袖が触れ合うほど近くにいなが、それぞれがいい感じの距離感を保ちながら、自分たちの会話にも集中できる。そして供される料理についつい箸と盃がすすむ。

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そらやは厨房にもとても近い。オーダーは昔ながらの料理屋のように、カウンターの中にいる店長やスタッフに直接声をかけてオーダーをするシステム。お客と店主との距離が近いから、自然と今日の生きのいい酒の肴なんかも教えてもえるのがいい。

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さて、SUnDAYSは広島市内を中心にさまざまなイベントに登場。イベントを裏から支え盛り上げるあくまで脇役でありながら、主役級の活躍を展開している。

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2013年に広島を拠点にグローバルに活躍する多肉植物などを扱う「叢」店主の小田康平さんとSUnDAYSのメンバーである古本くんとぼくの3名で行なったトークショー(TOKYO BEYOND HIROSHIMA Vol.2 @YO-HAKU 広島県広島市中区小町3-1サンライズ小町2F)にもmorning.のジュースとカルロスのフード、タチバーのビールが盛り上げてくれた。
彼らは場所を持たないゆえのフットワークの軽さで、ライブのように、その日手に入る生きのいい食材で、本当に食べたいもの、飲みたいと欲するものを舌とのどと胃袋と心と感覚に届けてくれる。そしてテンポのよい心地よい対話も。彼らのまわりには気持ちのよい人びとが集まっている。

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そんな彼らが、広島の食つながりの仲間たちとともに「東京談路」として11月最後の日曜日に恵比寿にやってきた。

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それを、ことさら東京進出という簡単な言葉で表現するのは少し違うと思う。東京さえも今やひとつの「ローカル」であることが自明になった今、広島と東京、そのどちらにヒエラルキーがあるわけではもちろんない。そしてそのふたつのローカルをつなぐのは、人と人、人と食との関係だ。そしてそれをつくるのはもちろん人である。
今回のイベントも、彼らの人とのつながりの中で自然と実現したものだという。

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恵比寿のJR線路沿いに近い裏道にある交差点にある無農薬野菜を使った料理とビオワインのお店「キッチン わたりがらす」。その店内と厨房には、広島から届いたばかりの食材と店主たちが所狭しとつどった。
広島ならではの新鮮な生牡蠣を食べさせてくれる”オイスターマイスター”「ル・トルヴェール」、石窯パンの「ドリアン」、有機野菜の「グリーンブリッジ」、広島の自然の中でつくられるチーズ「ル・ヴィラージュ・ド・フロマージュ」、可憐な花を持ち寄った「フラジャイル」、広島地粉うどんの「わだち草」、ワインのソムリエ「ピンク廣中」、立ち飲み居酒屋「そらや」、広島最強カレーの「ナンディ」、そしてベイクスタンド「カルロス」、ジューススタンド「morning.」、ビールの「タチバー」、東京から広島との縁も深い「オブスキュラコーヒー」と個性豊かな面々が集まった。

来店者は、好きなフードやドリンク、食べたい分、飲みたい分だけ自由にオーダー。一夜限りの恵比寿の路上には広島からの美味いものと笑顔が溢れかえった。

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カルロスと「ル・トルヴェール」の”オイスターマイスター”ことヒロさん。マイスター自らその場で殻を向き、フレッシュなうちにいただく。新鮮な牡蠣はお持ち帰りで購入するお客さんも続出。

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「ル・トルヴェール」(広島県広島市中区幟町7-28)はオイスターソムリエ ヒロさんのお店。

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食とともに花も心をときめかせてくれるものだろう。そんな組み合わせも彼ららしい。広島でもファッションやクラフト、アート、デザイン、食などとともに花や植物も熱い。

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食は人をつなぐし、それをつくる人の暮らしも身近に引き寄せる。わくわくすることの何十%かは世界のすべてのキッチンからはじまっている。そして、それに共感する人の感覚に影響を与え、味覚を含め五感で味わった食が人の心に作用する。食でつながることは、今もむかしもなにも特別なことではない。Think globally, act locally のもっと先をぼくらは身をもって体験しているのかもしれない。

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東京談路(会期終了)
Date:2014年11月30日(日) @キッチン わたりがらす
東京都渋谷区東3-24-14
※次回開催が2015.1/25、ル・トルヴェール(広島市中区)での開催が決定。

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平