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Diary

トーキョーローカルを如何に感じるか

2014年11月20日 

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3.11以降、東京は日本のさまざまな地方都市と同様に、日本の首都であると同時にローカルになった。 通信、エネルギー資源、交通網、流通、そして放射能。ぼくたちは見て見ぬふりをするが、あの日とあととでは、絶対的に何かが大きく変わってしまった。東京がローカルになったというか、もはやローカルと意識しなければ、いろいろなことが立ち行かなくなったというべきだろうか。何の根拠があるわけではなく、ぼくはそう思うようになった。

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大西みつぐ写真展「まちの息づかいー江東、砂町、ある日ある時ー」が、江東区砂町文化センター(北砂5-1-7)で、11月30日まで開催中だ。
大西さんは、1952年東京・深川生まれの写真家。東京の東部を流れる荒川河口を舞台にした作品「河口の町」で第22回太陽賞を受賞すると、1993年には「遠い夏」ほかの作品で第18回木村伊兵衛写真賞を受賞。
一貫して、生まれ故郷である東京を舞台に写真を撮り、その作品は「強い東京ではなく」、時代とともに消えていく運命にあるどこか儚げな「弱い東京」ともいえる場所や人、風景を映し出している。
そんな消えゆく運命にある東京のありのままドキュメントするものであると同時に、東京という場所にこだわりながら、どこか場所性を超越した普遍性とある種の批評性をもった作品は、見る者を被写体の世界の中に引き寄せる。

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白黒の作品は大西さんの地元でもある深川にある当センターに寄贈されたものだという。近年新たに砂町を舞台に撮影されたカラー作品も展示されている。白黒作品とカラー作品とのあいだには、時間にして35年ほどの隔たりがあるという。それは大西さんが北砂に暮らしていた若い写真学生だった頃にフィルムカメラで撮影された作品と、最新のデジタルカメラで撮影されたカラー作品。白黒の方の作品には、映画館や、今とは少し違った景色を見せている汐がひいた荒川河口の風景、そしてお祭りの風景など、ローカルな風景をみることができる。そしてそこにはこのまちで暮らす人びとが生き生きとして記録されている。
最近、個人情報の問題から、道行く人の写真を撮ることは難しくなってきたといわれる。だが、写真から見ず知らずの人の顔や姿を取り去ってしまったら、都市の風景に何が残るというのだろか。時の流れの中で失われてしまうものは人の息づかいだけではない。町や家々も新しいものにその姿を変えてしまう。「古きよき時代」というのは簡単だが、便利さと引き換えにぼくたちが失ってしまうものは多い気がする。

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展示は、過去に撮影した白黒、最近作のカラーと、色も作品のサイズもコントラストがはっきり分かれた構成になっている。
写真は写真展の会場となった砂町文化センターでの展示設営風景。ぼくの勘違いで写真展前日にうかがってしまい、会場では大西さんと文化センターの職員の方が作品を設営していた(作品は大西さんのご厚意で設営中にみせていただいた)。

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都心のオシャレなギャラリーでの写真展示にはない素朴な展示かもしれないが、ここにはまさにTOKYO PHOTOがある。
東京の東側、それも最近賑わいをみせる蔵前や清澄白河ではなく、それよりもっと東側に位置する江東区砂町。ぼくは久しぶりに訪れたが、数多くの総菜屋が軒を連ねる、日本でも有数の商店街である砂町銀座の賑わいは別として、人びとで賑わう商店街の裏道には、人影もまばらで眠りについたような町の風景が静かに横たわっている。夕暮れ時のまちを歩くのは、地方のひなびたまちを歩く風情とどこか通じるものがある。どこか遠くにある別のまちに思いをはせるのと同時に、もっと身近なまちを思ってみることも大切なのではないか。このまちを歩きながら、あらためてそんなことを感じた。

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地方都市ではローカルは衰退し、あるのは量販店が看板を連ねるロードサイドに代表されるような殺伐とした郊外的な風景が広がる。そしてどこにいっても変わらない駅前の風景が、人びとの生活感をもった真の意味でのローカルを覆い尽くしはじめている。どこにでもある、代替可能なものはローカルではない。トーキョーローカルを批評性のない単なる東京の郊外にしてしまってはいけない。そのことをぼくたちは忘れてはならない。

大西みつぐ写真展「まちの息づかいー江東、砂町、ある日ある時ー」
開催中〜11月30日
江東区砂町文化センター
住所:江東区北砂5-1-7

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平