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Diary

今日はハーブティーを飲みたい気分なのである。

2014年11月30日 

風邪をひいて熱が出た。
熱が出たので、安静にと日曜日は家で過ごした。

そんなには寝てられないのでソファーでくつろぎながらテレビを見る。
テレビでは、イギリス人の初老の女性が日本の自宅の庭で取れたハーブを解説しながら
ハーブティーを入れ、嗜んでいる。日本の田園風景と古びた平屋に対して外人女性とイギリスの茶器が、妙なコントラストを生んでいるのが印象的でついつい見入ってしまっていた。

番組では、様々なハーブをひとつづつ紹介し、どんな歴史や背景があって、これはどういう効能があるなどひとつづつ丁寧にイギリス訛りの英語で語っていく。
タイム、バジル、フェンネル、レモンシード、ラベンダー・・・。
解説の最後には必ず、茶器にお湯を入れてハーブティーとして飲む。

何でもお湯を入れればハーブティーになるのか、などと思いながらゆっくりと時間は過ぎる。
幾つか見ていくと、それぞれのハーブに医療的な効能があることがわかる。
免疫力を高めたり、強壮剤に使われていたり、血糖を下げる役割など。
昔の人は、これらを薬代わりに使ったのだというお決まりの語りではあるがまさに弱っていた自分にとっては、その情報が体にすーっと入ってきた。

元々薬なんてなかった時代だから、ハーブは重宝された。

僕はコンセプトを作る仕事をしているが、
作るそれ自体にはヴィジュアルがない。文字だけの場合が多い。
だから、コンセプトを基に作られるデザインには非常に重きを置いている。
コンセプトなんて、形がなければ無意味の長物であるとさえ思っている。

デザインはユーザーによっては薬になる。
特にビジネスシーンでは。
目に入っているイメージを変えることは、見る人に驚きを与え、気分を高揚させる。
デザインというのは、素晴らしい効能がある。
そう思っていたし、今でも間違っていないと思う。

が、今日はそうは思えない。
元々薬がなかった時代だから、ハーブが重宝された。
弱っている今の自分には、なんとなく薬ではなくハーブの気分。
様々なヴィジュアルに驚かされたいのではなく、じわっと効く小説を読んで、頭の中でイメージを膨らませたい気分。

時には今日の僕みたいな、そういう気分のユーザーもいるのではないかと思うのだ。
WEBを見ていても、やはり目が行くのは写真だし、ずっと文字ばかりだと飽きてしまう。
でもそれは、僕自身のイメージの欠落を意味している。
飽きる自分を作ってしまっているのだ。
文字だけでも充分にイメージは湧くし、カメラや印刷技術がなかった時代でも楽しんでいた人は大勢いる。昔と今で人間の構造は全く変わらないから尚更だ。

今日はハーブティーを飲みたい気分なのである。

北越の小京都より

2014年11月25日 

写真 1*

恥ずかしながら、加茂が「北越の小京都」だと言うことを最近知った。

新潟県加茂市。この街を含む新潟県中越地方は、一般的には日本有数の繊維やニット、織物が盛んな地域として知られている。加茂は私の母の故郷であり、大好きな祖母の家がある街のため、私は幼い頃からこの街によく訪れていた。やがて月日が経ち、大人になった私が東京で仕事をするようになってからは、加茂との関係も様変わりして、年に一度、お盆の季節に祖父母のお墓参りに立ち寄るというのが、大切な習慣として残っていた。

そんな加茂に、今年はお盆をのぞいてすでに3度も訪れている。きっかけは加茂市出身の3名のデザイナーによって運営されているアパレルブランドALOYE(http://aloye.jp/)との出会いがはじまりだった。

幼い頃から自分たちの故郷が繊維の町だということを、日々体感しながら暮らしてきたALOYEのメンバーは、今季、様々な縁に導かれて、加茂市発のファクトリーブランドG.F.G.S.(http://www.gfgs.net/)とコラボレーションアイテムを発表した。そのアイテムを生産するに至った背景、そしてG.F.G.S.というブランドを紹介するための記事を、私は書かせていただいた。

・ALOYE × G.F.G.S. http://aloye.jp/news/aloye-gfgs
・雑誌「PAPER SKY」とのトリプルコラボレーションも。 http://www.papersky.jp/2014/08/01/aloye/

この記事がご縁で、G.F.G.S.が発行している「G.F.G.S. MAGAZINE」のvol.02の制作に関わられていただくこととなり、さらにG.F.G.S.の新しいプロジェクトに編集者として関わらせていただくことに。その打ち合わせも兼ねて、ここ最近、G.F.G.S.ラボに訪れる機会に数度恵まれていた。

写真 3

加茂市駅前商店街。地元に愛され続ける老舗パン屋「千代田ベーカリー」の上に、G.F.G.S.は、事務所であり、ショップであり、工程の一部を担う工場でもある「ラボ」(写真上)を構えている。いつ訪れてもアットホームなこの場所で、毎日、完全受注生産の1点1点手づくりされた、上質なオリジナルカットソーが生まれている。そのカットソーを通じて、G.F.G.S.代表の小柳雄一郎さんは、ファッションという枠組みにとらわれない、様々な文化を発信していた。

その小柳さんの発想に共感を覚えた市内、市外のクリエイターたちが、このラボに訪れ、日々新しい試みが企てられている。私自身、その企てに参加したひとりでもある。

つい先日ラボに訪れた際は、その新しいプロジェクトの打ち合わせのほか、「G.F.G.S. MAGAZINE」vol.02の制作にまつわるトークショーが、ヒッコリースリートラベラーズ(http://www.h03tr.com/)のショップにて行われるとのことで、久しぶりにショップがあり、新潟の中心地でもある古町(新潟市)を訪れた。

写真 2

道中、オープン仕立ての「THE COFFEE TABLE」さんにて、コーヒーブレイク。https://www.facebook.com/THECOFFEETABLE.1984

いろんな面で、想いとこだわりが行き届いた素敵なお店でした。もちろん、コーヒーも美味!

写真 5

新潟市上古町で活動するクリエイト集団「ヒッコリースリートラベラーズ」のショップへ到着。新潟の文化を作る、担う重要集団。そんな彼らのショップでは、G.F.G.S.の受注会も行われていた。

写真 1

写真 2

目的のトークショーには、マガジンの出演者日本初の劇場専属舞踊団、Noism副芸術監督兼ダンサー井関佐和子さんを始め、マガジンのデザインに携わったデザイナー村手景子さん、加藤歩美さん、高橋徹さん、(そして私まで…)が出演。表層ではなく、それぞれの立場からの本音が聞けて、とても興味深かった。本音が出るということは、信頼があるということ。それを体感できたことが良かった。これから本格的に制作がスタートするG.F.G.S.プロジェクト。自分の役割を強く認識して、しっかり貢献したいと改めて想う。

そして自分を育ててくれた故郷で、仕事ができる喜びを噛み締めている。

トーキョーローカルを如何に感じるか

2014年11月20日 

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3.11以降、東京は日本のさまざまな地方都市と同様に、日本の首都であると同時にローカルになった。 通信、エネルギー資源、交通網、流通、そして放射能。ぼくたちは見て見ぬふりをするが、あの日とあととでは、絶対的に何かが大きく変わってしまった。東京がローカルになったというか、もはやローカルと意識しなければ、いろいろなことが立ち行かなくなったというべきだろうか。何の根拠があるわけではなく、ぼくはそう思うようになった。

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大西みつぐ写真展「まちの息づかいー江東、砂町、ある日ある時ー」が、江東区砂町文化センター(北砂5-1-7)で、11月30日まで開催中だ。
大西さんは、1952年東京・深川生まれの写真家。東京の東部を流れる荒川河口を舞台にした作品「河口の町」で第22回太陽賞を受賞すると、1993年には「遠い夏」ほかの作品で第18回木村伊兵衛写真賞を受賞。
一貫して、生まれ故郷である東京を舞台に写真を撮り、その作品は「強い東京ではなく」、時代とともに消えていく運命にあるどこか儚げな「弱い東京」ともいえる場所や人、風景を映し出している。
そんな消えゆく運命にある東京のありのままドキュメントするものであると同時に、東京という場所にこだわりながら、どこか場所性を超越した普遍性とある種の批評性をもった作品は、見る者を被写体の世界の中に引き寄せる。

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白黒の作品は大西さんの地元でもある深川にある当センターに寄贈されたものだという。近年新たに砂町を舞台に撮影されたカラー作品も展示されている。白黒作品とカラー作品とのあいだには、時間にして35年ほどの隔たりがあるという。それは大西さんが北砂に暮らしていた若い写真学生だった頃にフィルムカメラで撮影された作品と、最新のデジタルカメラで撮影されたカラー作品。白黒の方の作品には、映画館や、今とは少し違った景色を見せている汐がひいた荒川河口の風景、そしてお祭りの風景など、ローカルな風景をみることができる。そしてそこにはこのまちで暮らす人びとが生き生きとして記録されている。
最近、個人情報の問題から、道行く人の写真を撮ることは難しくなってきたといわれる。だが、写真から見ず知らずの人の顔や姿を取り去ってしまったら、都市の風景に何が残るというのだろか。時の流れの中で失われてしまうものは人の息づかいだけではない。町や家々も新しいものにその姿を変えてしまう。「古きよき時代」というのは簡単だが、便利さと引き換えにぼくたちが失ってしまうものは多い気がする。

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展示は、過去に撮影した白黒、最近作のカラーと、色も作品のサイズもコントラストがはっきり分かれた構成になっている。
写真は写真展の会場となった砂町文化センターでの展示設営風景。ぼくの勘違いで写真展前日にうかがってしまい、会場では大西さんと文化センターの職員の方が作品を設営していた(作品は大西さんのご厚意で設営中にみせていただいた)。

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都心のオシャレなギャラリーでの写真展示にはない素朴な展示かもしれないが、ここにはまさにTOKYO PHOTOがある。
東京の東側、それも最近賑わいをみせる蔵前や清澄白河ではなく、それよりもっと東側に位置する江東区砂町。ぼくは久しぶりに訪れたが、数多くの総菜屋が軒を連ねる、日本でも有数の商店街である砂町銀座の賑わいは別として、人びとで賑わう商店街の裏道には、人影もまばらで眠りについたような町の風景が静かに横たわっている。夕暮れ時のまちを歩くのは、地方のひなびたまちを歩く風情とどこか通じるものがある。どこか遠くにある別のまちに思いをはせるのと同時に、もっと身近なまちを思ってみることも大切なのではないか。このまちを歩きながら、あらためてそんなことを感じた。

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地方都市ではローカルは衰退し、あるのは量販店が看板を連ねるロードサイドに代表されるような殺伐とした郊外的な風景が広がる。そしてどこにいっても変わらない駅前の風景が、人びとの生活感をもった真の意味でのローカルを覆い尽くしはじめている。どこにでもある、代替可能なものはローカルではない。トーキョーローカルを批評性のない単なる東京の郊外にしてしまってはいけない。そのことをぼくたちは忘れてはならない。

大西みつぐ写真展「まちの息づかいー江東、砂町、ある日ある時ー」
開催中〜11月30日
江東区砂町文化センター
住所:江東区北砂5-1-7

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平