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Diary

放電と充電

2014年09月10日 

編集者という仕事をしていると、ときどきその仕事内容に関して、あまり実態が掴めないと言われたりしています。

私自身、この仕事を選んでいなかったら、きっと同じことを言うかもしれないなあ、、と思いながら返答に迷います。企画を立て、構成を組み立てて、取材をして、執筆する。実務的な具体例をいくつか挙げるとこういうことになりますが、もっと俯瞰的な視点から言葉にするとしたら、編集は、人や物事に文脈を与えて新たなものの見かた、考えたかたをご提案する仕事……と言えばイメージできますでしょうか。(いっそう迷宮入りしていたらすみません)

好きなもの、嫌いなもの、思考の癖は誰にでもあって、でもそれがちょっと視点を変えるだけで、見えていなかったものが急に目に飛び込んできたり、嫌いなものが好きになったり、興味が湧いたり、そういった経験は誰にでもあると思います。そんなきっかけになるようなものの見かたを、私の場合は主に誌面という場を通じて、少しでも世の中に届けられたらいいなと、ささやかに思いながら編集者をしています。

それに編集者という仕事は、個人作業で完結する仕事ではありません。ひとつの企画を実現するにも多くの人のお力添えによって成立します。その企画の舵取り役が編集者なので、この仕事はつくづく人との関係性のなかで初めて生きてくる仕事です。というときに、編集者の最初の仕事とは、何か。それは相手の心を受け取るということから始まるような気がします。

実際に心がけてみると、これがまた、圧倒的な集中力、生命力、エネルギーを必要とします。かなり難しいことなんです。心を受け取るとは、例えばその相手の話を聞く、その話を理解するということとも、ちょっと違う。つまりは相手の方が無意識に持っている部分、言葉にできていない内側の部分も含めて捉えて汲み取っていかないといけない。少なくともそういう視点を持たないと、例えば誰かのインタビュー記事はまとめられません。それにはまず自分自身の心がひらいていること。感覚をつねにひらいていることが大切で、膨大なエネルギーが必要なんです。そして、こうして私という編集者のふるまいは、案外と誌面上ですべて明け透けになってしまうんです。

……ということで、仕事で放電する日々が続くと、充電もしたくなります。そんなときは美術館に足を運び、絵を観ることが私の習慣になっています。最近行って良かったな、と思った作品展は、現在、DIC川村記念美術館で行われている『五木田智央 THE GREAT CIRCUS』(〜12月24日まで)。潔く気持ちのよい風が吹いていました。それは作品にも、美術館そのものの環境にも。豊かな緑と鳥さんに癒されます。ぜひ一度足を運んでみてください。(五木田さんの作品への感想は、もう少し熟成させてから言葉にしたいと思います)

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加藤 孝司加藤 孝司
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