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Diary

イーストトーキョーの愉しみ

2014年06月05日 

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東京の中心から東側に位置することから、イーストトーキョーといわれる、いわゆる東京の下町エリアが注目を集めはじめて久しい。かつてはこのエリアに残る、江戸や、昭和といった風情、いわゆる老舗などがたち並ぶ下町情緒の魅力に惹かれて、人びとはこの街を訪れた。今はそれに加え、若いクリエイターたちによる、この街に根づいているものづくりの歴史や伝統を背景にもったショップやアトリエ、この街のそこここにある工場などによる、ものづくりそのものが持つ、ものづくりと、そのつくり手の魅力が求心力をもって、このエリアへ人びとの目と足を向けさせている。
最近特に注目を集めているのは、台東区蔵前や、浅草橋といった、問屋や町工場、プロ向けの商店などが点在する、それまでは一般の人は日常的にはあまり足を運ぶことのなかったエリア。
その起爆剤のひとつになっているのが、このエリアで行われている、ものづくりやデザインに関するいくつかのイベントだ。つい先日も、モノマチと日本橋くされ市が同日に開催される日があり、そのなかの幾つかの会場を、カメラ片手に回ってみた。

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モノマチは、東京都台東区内にある廃校になった旧小島小学校に開設された、若手を中心とした作り手やデザイナーたちの創業を支援する「台東デザイナーズビレッジ」、通称デザビレから生まれた今回5回目となるものづくりイベント。
そのデザビレが中心となり、台東区内にあるショップなどが参加しているのだが、「モノマチ」に特徴的なのが、普段は一般にはあまり解放されていない、町工場や問屋さんなどの軒先が解放され、そこで作られたものや、そのための技術を伝えるワークショップなどが開催され、それが多くの来場者と賑わいを獲得していること。神社などで行われる、祭りや縁日などが多いことで知られるこのエリアだが、ものづくりやデザインをテーマにしたお祭りは、このエリアではこれまでほとんど行われてこなかった。その意味でもこの街のものづくりがもつ魅力を今一度再発見するために、モノマチが果たしている役割はとても大きい。

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そして、このエリアにもうひとつ特徴的なのが、その多くが、大きな通りに面しているのではなく、路地裏などの裏道に点在していること。それが、期せずして、街歩きの楽しさに結びついていて、日がな1日この街で過ごすには心地よい。ぼくがみただけでも、商店の軒先をつかっての臨時の販売所や、モノマチ開催期間にあわせてオープンしたカフェなどに、多くの来場者が集い、それぞれ思いおもいにこの街を楽しんでいる姿が印象に残った。
台東区エリアは、2012年のお隣墨田区への東京スカイツリー開業、2020年の東京オリンピック開催で盛り上がる東京の、ものづくりの拠点、そしてものづくりに関する情報発信拠点として、今後しばらくはさらに注目を集め続けるだろう。

日本橋くされ市は、東京都中央区日本橋大伝馬町にある、えびす通りの一部を封鎖し、約40店舗が参加して行われるフリーマーケット形式のイベント。このエリアの若手町会関係者が発起人となり、自発的に行われ、昔ながらお祭りや縁日に近い、親近感のあるイベントとして誰もが楽しめるイベントとなっていた。
かつてこのエリアは繊維問屋街として栄え、毎年10月には恵比寿講べったら市が開催されることでも知られる街。そこに近年、新築マンションやオフィスビルなどが建ち並び、また、デザイナーやアーティストといったクリエイターたちが古くからあるビルや倉庫などにアトリエやショップを構えたり、カフェやギャラリーなどがオープンするなど、これまでこのエリアにはなかった新しい魅力が生まれはじめている。

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だが、くされ市がこれまでの縁日やお祭りと異なる点は、新しさを感じさせる現代の若手クリエイターたちや新住民たちと、昔からこの街で商いをする老舗商店主たちが、DIY精神にもとづき自発的に、共同で肩を並べて出店していること。和紙、はけ、けん玉、焼きそば、雑貨、洋服など、この街と人に由来と縁がある新旧がお手頃価格で売られている。ついついお買い物をしたくなる雰囲気に満ちている。
くされ市というユニークな名称は、江戸時代のその昔、魚などを売る市がこの付近であり、夕方になると、売れ残った魚がにおいをたてたことから、そう呼ばれるようになったことに由来するという。そんな長い歴史といった「背景」があるのもイーストトーキョーエリアならではの魅力である。
日本橋くされ市は、今後定期的に開催されるというから、こちらも楽しみだ。

その他にも御徒町エリアを中心に開催されるSPEAK EAST!や、谷中を中心とした本をテーマにした一箱古本市など、このエリアで活動する若手を中心とした新しい動きは、この街をより魅力あふれたものにしている。
新旧のものづくりの確かさ新しさ、若手を中心としたクリエイターと老舗、このエリアが積み重ねてきた歴史などの土地がもつレイヤーの濃密さ。それらが渾然一体となったイーストトーキョーの愉しみは、まだまだ尽きることがないだろう。

 

モノマチ http://monomachi.com/
日本橋くされ市 http://kusareichi.com/

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平