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Diary

物と情景 -Seoul 2014.3-

2014年05月30日 

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縦置きのティッシュケース”STAND”を使い始めてそろそろ、7,8年になる。
ダイニングテーブルを買ってからというもの、テーブルの端ギリギリに置いて使うのが定位置。
真ん中であれば立てる必要はないが、やはりテーブルの上に置いておきたいのでこの位置が我が家の場合ベストである。
常々思うが、物というのは使い始めて数年経ってようやく「自分の物」になる気がする。
自分の生活にうまく馴染んだ情景が、一番脂が乗った状態ではないだろうかと思ってる。

情景。
それは、そこに暮らし住まう人達の生活の蓄積そのものが、景色となり僕らの目に見えている状況。
無数の物や自然を使いこなした、人情の景色だ。
情景には様々な要素が関わっている。偶然置いてある他の物との関係性、その時の見る人の感情。
物が周りと調和し背景に溶け込む瞬間、そこには何かしらの文脈が生じ、物に意味が付加される。
合っているか間違っているかはさておき、それを何となく想像したり楽しんだりする行為が僕は好きだ。

去る3月、韓国ソウルへ行ってきた。

3年前に訪れた時に比べ、日本にとても近い街並みになってきた感じがあり、勢いを感じた。
東大門スタジアム跡地に建設されたデザインに特化した施設、Dongdaemun Design Plaza(www.ddp.or.kr)がオープンし、デザインという言葉自体も国内全体へ浸透を増している。

繁華街を見渡せば、至る所にカフェ、カフェ、カフェ。
韓国人の友人に聞くと、ランチタイムはご飯を食べ、二軒目でコーヒーを飲むというのがお決まりコースらしい。確かに平日の昼間から、満席に近いカフェがちらほら見られる。

 

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韓国の色使いは独特で、特にゴールドの使い方が上手い。
つや消しのゴールドの箸や食器でたべる韓国料理は、また見え方が全然違う。

 

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ライフスタイルショップ chapter1のオリジナルプロダクト「GOLD HOOK」。
http://www.chapterone.kr/

 

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食素材のプレゼンテーション。韓国食材とゴールドのトレイの相性が美しい。

 

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キョンボックン駅周辺にあるブックショップより。
シェルフを少しアレンジして組み立て、ファンクショナルな本棚に変身させていた。お見事。
また、小物類は画用紙用の棚に収納しディスプレイ。

 

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店舗の工事現場より。看板の取り付け前だろうか、バラバラになったハングルは文字の顔をしていない。

 

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整形大国ならではか、こういう紙袋を良く見かけた。
美しいビジュアルが捨てられているというのは、なぜか意味深いメッセージ性を感じる。

写真に写せない情景。それは人の精神性だ。
久々に訪れたソウルからは、「大陸感」を強く感じた。
島国とは違う、「この先にずっと陸が続いているんだから、強い意志を持っていないと!」と云わんばかりの
食文化や日常のしぐさなど、節々からそれを垣間見る機会が多かった。
都市部の街並みなどが日本に似てきているからこそ、余計に。

立花博司『Emerge』
作品と私の距離感

2014年05月26日 

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その作品を理解したいと、自分の知性や感性を総動員して、 作品の内側に、積極的に参加する。近寄りすぎたら見えなくなるし、 “作品とわたし”の距離感は、いつだって難しい。

画家・立花博司さんの個展『Emerge』を鑑賞した。

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ずっと米国を拠点に活動してきた立花さんが、20年ぶりに日本に長期滞在し、制作された作品の数々。 繊細で豊かな色彩のレイヤー、つまり立花さんのイメージのレイヤーからは、 生活の中で立ち上がっては消えてゆく、意識的、かつ無意識的な輪郭が見え隠れしている。 絡み合う有機的な曲線。そこからこぼれ落ちるどろっとした何か。その何かは、きっと自分の心が抱えているもの、そのものなのだと思う。 観る者が変わったら、作品の中身そのものが変わってしまう。 それぐらいアートとは、自分の生き方が投影されてしまうものだから。

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立花さんは現在、ファッションブランドpetite robe noireのテキスタイルの アートワークに関わっている。 私もそのアートワークを用いた洋服を、日々纏わせていただいている。 ささや かだけれど、自分の生活が切実にアートと関わり合っている実感を持ちながら、 純粋に装う ことを楽しんでいる。

3年前の夏、私はpetite robe noireのブランドムック本制作のため、 デザイナーの阿部好世さん、写真家の森本美絵さんとともにニューヨークを訪れた。 そこで森本さんの友人のひとり として出会ったのが、立花さんだった。 『Emerge』では、そんな立花さんと、この日本で 作品を介して会話できる喜びを噛み締めた。

ちなみに、そのムック本の取材を無事に終えて、ニューヨークから東京に戻る飛行機の座席 にて、立花さんと私は、隣同士だったという出来事は、一生忘れられない。もちろん、偶然! 日本で行われる展覧会に向かうために、立花さんはその飛行機に搭乗していたのだった。

立花さん、今度はまた地上でゆっくりお話できたらうれしいです。

立花博司『Emerge』 〜6月14日まで。

Sprout Curation
東京都江東区清澄1-3-2 6F

petite robe noire
http://www.petiterobenoire.com/

fukuoka, DESIGNING?, 2014, impression.

2014年05月20日 

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5月18日まで開催中だった福岡発の「DESIGNNIG? デザイニング」展に行ってきた(5月9日から10日間開催)。デザイニング展は「デザインが街を変える」をキーワードに、2005年にはじまったデザインイベント。10回目を迎えた今回は、10年前のスタート当初の予定通り、事前に今回がファイナルエキシビションであることが発表された。

デザイニングはデザインのイベントとしては、いわゆる「デザインされた物」の印象が比較的少ないデザインイベントである。もちろん、デザイニングのメイン会場となっているIMS(天神1-7-11)の吹き抜けの地下にあるIMSプラザや、街のそこかしこに散りばめられたデザイニングのフラッグが掲げられた各会場では、質の高い新作プロダクト、ファッションやアートなどが発表されてきた。 博多の中心市街地である天神に位置する商業施設IMSを、デザイニング自体の「インデックス=索引」として、そこから街へ広がって行くように仕掛けられたアイデアは秀逸だし、それは、この街における人とデザインとの距離感の近さを象徴してもいる。

2008年のデザイニング展の年から数えて6年、毎年デザイニング展をきっかけにこの街を訪れている僕にとって、福岡という街を「デザイン」をキーワードに巡ることで見えてくるものは、この街にはデザインされているものが十分に溢れているということ。 そういった意味では、完成形の作品だけではなく、そこからはじまっていく物事のきっかけとしてのワークショップや、いまそこで起こっていることを共有する場としてのトークイベントなどで、デザインをコミュニケーションのツールとして、街と人をつなぐことを試みてきたデザインイベントがデザイニングであるならば、この10年間で、その多くは達成されつつあるように思う。

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デザイニングは、デザインが、人や人に及ぼす感覚だけでなく、街、しいては、そこで暮らす人びとにとって、デザインに何ができるのか?そんなシンプルだが、壮大な問いを、この街に暮らす一人ひとりに投げかけ、問いかけ続けてきた。 そこでは、東京から訪れる僕のようなものにとっては、そこで繰り広げられてきた福岡に固有の問題意識は、実は東京や他の都市でも同じような問いになりうるのではないか、という普遍的な問いという気づきを与えてくれてもいた。 福岡は個人的な友人知人も多く、街の規模感が街歩きをするのにほどよく、食べる物も旨いので、いつ訪れても楽しみのつきない街だ。

今年のデザイニング展では、街の紹介者として、福岡中心市街地のそれぞれ特色あるエリアで活動するキーパーソンたちが、その街のお店やオススメスポットだけでなく、人や活動も紹介していることが印象に残った。
どの街をおとずれても、その街のことは、その街に暮らす友人たちに聞くのが楽しいと思っている僕にとっても、この企画は、大いに役立ったし、この街に暮らす人にとっては、見逃していた既存の価値の再発見、そしてこの街を訪れる人にとっての良質な情報のストックになるだろう(だから、デザイニングの今年のガイドブックは、大切に保存しておいたほうがいいと思う)。 ここ数年、情報はよりローカルなもののほうが、信ぴょう性があるし、価値があると個人的に思っている。友だちや、その友だちから教えてもらった情報は、いつでも街歩きの参考になる。 そんな、街の情報は、デザイニングのウェブサイトや、オフィシャルガイドブックなどで、いまもみることができる。

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さて、今回のデザイニング展で印象に残った展示ナンバーワンは、長浜エリアにあるファッションブランド「FUJITO」の旗艦店Directors(長浜2-4)で発表された、福岡と東京を拠点に活動するデザイナー、二俣公一氏がデザインした靴専用のスツール「SHOE STOOL」だ。 こちらはFUJITOのブランド設立10周年限定アニバーサリーアイテムとしてデザインされたもので、この秋には1950年代創業のイタリアのファニチャーレーベル「OPINION CIATTI」から再リリースが予定され、今年のミラノサローネでも発表され話題になったもの。その希少なFUJITOオリジナルバージョン3色と、OPINION CIATTIバージョン、アイデアスケッチ、パーツがみれるということで、とても興味深く拝見した。こちらはまた別の機会に詳しく。

DESIGINIG?
会期:2014年5月9日(金)〜5月18日(日)
会場:福岡市内各所

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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平