Diary

常滑でガウディ?

2017年04月10日 

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常滑のまちを歩いているといたるところにやきものがあって驚く。それらはすべて生活の痕跡を感じさせ、ここがどのような場所で、どのような人が暮らし、どんな歴史をへてきたのか。雄弁に物語っているように思えた。そしてそれはさらに、ここで暮らす人々の今の暮らしをも想像させるものであった。

衛生陶器や住宅設備などで知られるINAXのミュージアム、「INAXライブミューアム」は、そんな常滑にある。常滑とはJR名古屋駅から特急電車で30分ほどの場所にあり、すこし行けば、名古屋国際空港がある、海に近いまちである。
先のやきもので分かる通り、土とやきものの魅力を伝える文化施設である「INAXライブミュージアム」には、古今東西のやきものが展示され、土に触れ、楽しむための企画がたびたび行われている、まちと人に開かれたミュージアムである。訪れた日も、光るどろだんご制作のワークショップが開催されていて、たくさんの子どもたちで館内はにぎわっていた。

今回、INAXライブミュージアムを訪れたのは、館内で昨年11月にはじまった『つくるガウディ』展をみるため。これはINAXライブミュージアム開館10周年を記念に行われているもので、このミュージアムのコンセプトであり、スペインの建築家アントニオ・ガウディのコンセプトのひとつでもある、土とタイルをモチーフとした表現の可能性を追求するものとして、建築家と職人のコラボにより、ガウディ建築を再現するというもの。

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実際に訪れた日には、天井高のある館内いっぱいにガウディが設計した未完の「コロニア・グエル教会」を再現した、アーチ状の建築をみることができた。

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本展において、本作が制作される「土・どろんこ館」など、INAXライブミュージアムのいくつかの建物も設計した建築家・日置拓人氏が手がけるのは、ガウディの作品の中でも未完の建築として知られる「コロニア・グエル教会」から着想を得たもの。コロニア・グエルは未完でありながら、ガウディが10年もの歳月をかけて逆さ吊り構造実験など、その後の「サグラダ・ファミリア」につながる構造実験をしてまで向きあった建築。今回その制作にタッグを組むのが、土の専門家である左官職人である久住有生氏、これも土からタイルをつくるタイル職人である白石普氏の二人。

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会場は建設現場さながらに、建設途中の建築、そしてそのまわりには足場が組まれている。館内に入る人はまさに建設現場に入るときのように、ヘルメットを着用する。「コロニア・グエル教会」は地下部分以外は未完で、今回のエキシビションではその地上部分の建築の一部を3人の作家たちが再現した。
土とやきものというINAXライブミュージアムのコンセプトは、タイル、土、レンガといったガウディ建築のモチーフとも重なる。

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木材で組まれた足場は、現在ではみることほとんどないが、これは19世紀から20世紀初頭という、ガウディの時代の建築現場を想起させる。
一歩足を踏み入れれば、左官やタイル貼りといった職人の手仕事を間近にみることができる。当日は二人の職人が手に仕事道具をもって、施工の真っ最中。

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左官を手がける久住氏は、祖父の代から続く左官職人の家に生まれ、海外でも修行をした経験をもつ左官界のカリスマとして知られている方。商業施設やホテル、歴史建造物の修復なども手がけ、さまざまな技法を取り入れながら、圧倒的な知識と経験なくしては成り立たない左官の魅力を世に伝えている。
左官について裏方の仕事といい、ただただ真っ平らな壁をつくるのが実は一番難しいという久住さんの仕事はこの作品においても、美しいテクスチャーをもった仕上げを実現している。

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一方、タイルを手がける白石氏は、20歳のときにイタリア・ギリシャでみたローマ遺跡やビザンチン建築に刺激を受け、タイル職人になった。イスラム建築などにみられる幾何学モザイクに魅せられ、モロッコで実際にモスク建築に携わった経歴をもつ。数々のタイルのデザインと自ら施工も行う。

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この建築に使われるタイルも本作のために特別にデザインし、つくられたもの。この作品ではなるべくシンプルに、同じ形のタイルを使い、職人自ら貼りながら考えることで、白石氏にしか実現できない表現を生み出している。

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タイルは土とのコラボレーションだが、あえて土らしい色ではなく、グリーンからブルーのグラデーションの自然界のなかにあるような鮮やかな色に仕上げられた。数種類のタイル制作は、石膏で型をとり、そこにひとつずつ粘土を嵌めて象り焼いて釉薬を施し仕上げる。

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現代でありながら、そのドームの内側には時代を越える静謐な空間が広がっている。日本なのかスペインなのか分からない本作の制作の現場に職人さんがいる風景は、なんともいえないものであった。これは公開制作を見学できる本展ならではの魅力にほかならない。
ガウディが残したスケッチなどをもとに、現代の建築家が想像しながらつくったという建築も、1/4というスケールでありながら、大きな広がりを感じさせる。左官の流麗な仕上げ、あまり日本の建築ではみられない天井のタイル張りなど、見所がたくさん。このプロジェクトが教えてくれるのは、ものをつくるたのしさ。こんな豊かな表情をもった建築を実現するのは、このものをつくるたのしさが原動力になっているのだ。

『つくるガウディ』展の会期は2017年3月31日までだったが、『完成!常滑ガウディ』展が4月15日から5月30日まで、ここINAXミュージアムで行われる。これは公開で制作された”常滑ガウディ”の完成お披露目であり、美しい照明演出とのコラボによる作品展示である。

会期スタート前日となる4月14日には、建築家の伊東豊雄氏のトークがオープニングイベントとして開催されるというから、こちらにも注目したい。
建築家、そして普段はむしろライバル関係にある左官、そしてタイル職人の緊張感のあるコラボレーション。そこからあらたに生まれたガウディの建築。目撃できるのは今だけだ。

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INAXライブミュージアムの敷地には、やきものにまつわる建造物の宝庫。昔からのこの場所にあった煙突、窯、建物などが保存され、このまちがかつて、やきものでいかに賑わっていたか往時をしのばせる。

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ミュージアムに訪れたら、ぜひ常滑散策を楽しんでいただきたい。1850年ころに建造された、常滑市指定有形文化財になっている廻船問屋「瀧田家」前の坂道にもやきものがずらり。まちの至るところにあるやきものに、このまちの歴史を垣間みることができる。

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細い路地には猫がつきもの。やきもののお店では招き猫がお客さんを迎えてくれる。

そしてここのまちのシンボル「とこにゃん」。常滑のメインストリートを崖の上から見下ろしている。

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民具木平の市場調査 第22回 2017年3月 東京(ランダム) ”Tokyo 2017 March (Random)”

2017年03月30日 

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駅構内ではひな祭り

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サンドイッチの中身をリサーチ

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今まで見た中で一番短いかな

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レモンメン

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プライウッドのポニー、奥は試作で脚の短いver

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Good

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買い出し

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大江戸骨董市にたまたま通りかかった

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ネズミ対策

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Garage Sale

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Gate

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Bake Sale

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至福の時間、DAN FLAVIN@エスパス ルイ・ヴィトン東京(2017年2月1日〜9月3日)
(Thank You Temporin-san)

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高校生の頃はゴールキーパーの練習では、すぐ破けてしまうので、スポーツブランドの高価なものではなく、ホームセンターで売っている、えんじのヤッケを毎日着ていました。


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良いデザインとは何か。

2017年03月20日 

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創刊号から編集ディレクションと執筆を担当している
フリーペーパーTOKYO PAPER for Cultureの最新号(vol.16)が完成して、
現在、都内を中心に配布がスタートしています。
(*ウェブマガジンでも読むことができます)

 

巻頭対談に、宮前義之さん(ISSEY MIYAKE / デザイナー)と
緒方壽人さん(takram / デザインエンジニア)に「拡張していく身体感覚」をテーマに
話をお伺いしたのですが、この対談を通じて、個人的にもハッとさせられたことがありました。

 

エンジニアリング、それは直訳すると工学。
数学も関わる、それは私のとても苦手な分野として、どこか捉えていました。

 

例えばエンジニアリングを自分の身近な領域に置き換えると、
インターネットの世界が思い浮かびます。
まるで暗号のようなアルファベットを打つ=プログラミングすることで、
コンピュータに指示を与え、結果的に私たち人間の思う通りにウェブメディアが構築されていく。
その立役者がエンジニアと呼ばれる技術者だと私は思っていました。
つまり、見た目の意匠がデザインだとするならば、
それを支える構造がエンジニアリング、
となるわけですが、今回宮前さんと緒方さんの対談を聞きながら、
デザインとエンジニアリングは役割は違う。
だけど優れたデザイナーはエンジニアリングのマインドがあること、
またその逆もしかりということを気づかされました。

 

と同時に、何より私はデザインの、美しい構造にいつも惹かれていたんだなあと痛感したのです。

 

編集者という仕事柄、デザインはいつも身近な存在です。
例えば編集者として紙媒体を作るとき、
グラフィックデザイナーが誰よりも仕事のパートナーになります。
編集者が頭の中で設計した企画を、様々なクリエイターの力を借りながら編んでいった先に、
最終的にはデザインの力で「形」になるのです。
形、見た目の意匠は、デザインによって大きく変わります。
ときにデザインがその媒体の性格すら変えてしまうことがあります。
デザインの強さも怖さも美しさも日々感じているからこそ、
デザインには敬意を持って生活してきました。

 

良いデザインとは何か。
私がいつも美しいなと惹かれるデザインは、
見た目だけの意匠に寄りかかるのではなく、
美しい構造にあったんだ、
つまりそれを対談を通してハッとしたんです。
イメージとしては、構造は体幹のようなもの。
体幹がしっかりしていないと人間も不安定になるように、
デザインもまた、体幹がないと不安定になります。
見ていてなんだか気持ち悪い、
落ち着かないデザインはこういうことだったんだと
やっと言葉にできたような気がします。
デザインとはフィジカルなもの、それもまた改めて思い知らされました。

 

ちなみに文章を書くということもまた、
すごくフィジカルな行為だなあとつねづね思うのですが、
そのことはまた改めて綴れたらいいなあと。
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Authors

加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
野本 哲平野本 哲平