Diary

民具木平の市場調査 第24回 朝の散歩 ”Morning Walk”

2017年05月30日 

普段から不規則かつどちらかというと(というか最近は完璧に)夜型の生活を送っているので、夜が明けそうな時間帯に寝ることはあっても、夜明け前に起床するということは、理由がない限りほとんどない。今日は特別な理由もないのだけど夜明け前に起きたので、これはラッキーだと思い、割と近所にある朝7時にオープンするパン屋にパンを買いに行こうなんて思った。まだパン屋が開くまでは一時間半くらいもあるので、せっかくだからマイ・フェイヴァリットな近所の公園に散歩にでも行ってみようかなと思ってビーチサンダルを履いて外に出た。この公園では朝の6時半から毎朝ラジオ体操をやっているということを、なんとなく、聴覚による情報だけを頼りに知っていたので、今の時間がまだ人がほとんどいない状態で狙い目の時間なのだ。
五月も末、梅雨入りが目前だが、ここ数週間ずっと天気が良くて、特に今年はこの気候をとても気持ち良く感じている。

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前日に誰かが収穫したものなのだろうか、梅が集めてありました。


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早朝の散歩、これはなかなかいいあそびを発見したかもしれない。


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普段気がつかなかった、オフィス中古家具屋の看板が付いている建物に、黒いタクシーが入って行った。なんだろうと思ったら、タクシー洗車1000円って手書きの看板が出ていて、若い従業員が3〜4人掛かりで、ピットインしたタクシーをキビキビと洗車し始める。

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この時間ならではの景色かな、街には回収を待つ粗大ゴミが出ている。

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近所の公園に戻ると、ちょうどラジオ体操が始まったところだった。
僕が今まで聴覚情報のみで想像していたそれとはかなり違うイメージで、一人一人、好きな場所で、おおらかな間隔を保ち、みんな好き好きにやっている。
かと思えば、その真ん中を、ラジオ体操の曲とは違うメロディを口笛で奏でながら、犬と歩くよく見るおじさんも歩いてる。
口笛はたまにラジオ体操の曲にフェイドインして入ってくる。

新しい地図

2017年05月20日 

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いつの間にか新潟で暮らした長さよりも、東京で暮らした長さの方が勝っていました。自分が出たくて出た新潟。にも関わらず、今、新潟を知りたいと思うから人生は不思議です。

東京で出身地を聞かれて「新潟です」というと、ほとんどの人から「お酒強いでしょう」と言われるように、新潟と言えば、コシヒカリと日本酒のイメージが一般的。そういう中で私自身、新潟というまちは、例えば京都や奈良、大阪、石川のように、濃厚な土着的文化には薄く、全体的にさらっとしているイメージを持っていました。それに東京までは新幹線で約2時間という近さもあって、若者たちは東京に意識が傾きやすく、東京から発信されるカルチャーを日常の中に取り込む器用さもあります。

あくまで主観的な見かたですが、どこか物足りない。これが正直な新潟に対する
印象でしたが、ここ数年、ふとあることが意識に上るようになってきました。

鉛色の空です。

天気は人の気持ちにとても作用しますが、日本海に面した新潟は、
雪雲が発達しやすく、冬から春にかけてはとにかく毎日がどんよりしています。
重たい雲が立ち込めていて、まるで上から圧迫されるような感覚に。
私はその空がとにかく苦手で、東京に出てきて一番嬉しかったことの一つに、
東京の冬晴れがあるくらいでした。ところがここ数年は、
そんな鉛色の空に、不思議と心落ち着く自分がいるんです。

そしてこの鉛色が、新潟の人たちの辛抱強さや謙虚さ、うっすらとある
暮らしの色気のようなものに繋がっているように思えてきたんです。
10代の頃には見えていなかった景色が、30代の今、見えてくるということ。
その鉛色の空をきっかけにして、私は今、新潟のまちの営みに
とても興味を持ち始めました。10代の頃に手にした地図ではなく、
今の自分がこのまちを歩き、新しい地図を手にしたい。
そんな想いがふつふつと湧いています。

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例えば、もう上ることのできなくなったレインボータワー。
東京スカイツリーと同じ高さを持つ弥彦山の麓に鎮まる弥彦神社。

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十日町のまちにしっとりと馴染みながら、
上映作品のセレクトも素晴らしいまちの映画館、十日町シネマパラダイス。
樹齢約90年ほどのブナの木が一面に生い茂る十日町美人林。

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10代の頃は足を止めることがなかった風景が、今輝きを放っています。

同時に、新しい人によって、新しい新潟の風景が作られつつあるのも見逃せません。新潟では注目されつつある沼垂エリアで、写真集を中心にした新刊と古書をセレクトした本屋を構えるBOOKS f3。

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ここで東京でお世話になっている写真家の方たちの作品集を手にすると、東京で手にするのと違った見かた、気づきを得られるのが面白いです。何より新潟を拠点としながら活動するクリエイターの動向も知ることができます。

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これからもすこしずつ地図を広げていきたい。 そしてそれを多くの人と共有していけたらいいなと思います。

 

DESING ARCHIVES #1 Oak Inside

2017年05月10日 

ヒンデローペンはオランダ北東部フリースランドにある港町。伝統的に港湾貿易が盛んな町で、大西洋を通じてバルト海沿岸の森林資源の豊富な北欧諸国との交易があり、多様な木材文化が古くから栄えた町だ。干拓地として知られる天然資源の乏しいオランダにあって、港町には木工製品の文化が古くから根づいており、北欧のクラフトとも微妙にことなる木材をマテリアルにしたさまざま工芸品が生まれた。

木材製品を装飾するためにヒンデローペンで生まれた「ヒンデローペン・スタイル」と呼ばれる素朴な手描きによる絵柄は、濃い赤、青、緑とベージュをベースカラーに鮮やかな色味に特徴がある17世紀末発祥の絵付け画法。絵柄はフォークロアスタイルで花や鳥などが描かれており、素朴な絵付けは現在でも世界中でフアンが多いと聞く。
ヒンデローペンは、同じオランダ国内のヘラ・ヨンゲリウスやスタジオジョブの磁器作品を手がけることでも知られるマッカム焼きの工房がある町、マッカムにも近い。
クリスティン・メンデルツマのオーク家具コレクション「Oak Inside」は、オランダの現代アートギャラリーPriveekollektie Contemporary Artから、トーマス・アイク・コレクションとして発表されたもの。Priveekollektie Contemporary Artはオランダの彫刻やデザイン、絵画、写真まで幅広く取り扱う現代アートギャラリーで、デザインマイアミなどの国際的な現代アートフェアにも参加している。トーマス・アイクは2000年代初頭よりおもにオランダのプロダクトデザイナーとの恊働により、オランダ独自の素材と伝統に従った製品を発表しているデザインレーベル。フォークロアや工芸をテーマとしてながらも、単なる工芸とはことなるアーティスティックなアプローチに特徴がある。これまでもスタジオ・ジョブ、アルド・バッカー、ショルテン&バイーングらの作品を発表し、その繊細丁寧なものづくりには定評がある。
「Oak Inside」コレクションは、テーブル、椅子、カップボード、脚立、ボックス、スパイスミル、ラグで構成された家具シリーズで、クリスティンのサイト内のOak Insideのページをみると分かるのだが、これらの作品は多彩な色彩で描かれた1800年代のHendrik J.Lapにより絵画の中に描かれた家具を精巧に写しとった「写し」作品である。
北欧のデザイナーたちは過去の良質なデザインを良いところはそのままで、現代に見合った視点で更新=リデザインすることで、時代にあった道具やデザインを生み出してきたが、現代オランダのデザイナーたちもリデザインとは手法はことなるが、伝統をモチーフに現代的なデザインを生み出している。
装飾を施されたテーブルは簡易的な折畳み式、スパイスミルのその特徴的なかたちはテーブルの脚に由来し、ボックスはオランダの航海士が使用していた衣装ケースにインスパイヤーされている。ラグと、椅子のシートはニッティングデザイナーでもあるメンデルツマらしく、極太のニッティングによる作品が用いられており、素朴だが大胆な作品になっていると思う。
またカップボードに描かれた柄は典型的なヒンデローペンスタイルの絵柄だが、オランダには手のこんだ伝統的な寄せ木細工の装飾も有名だ。今回の作品ではまさにヒンデローペンスタイルの絵柄を得意とする専門的な工房である1894年創業の「Roosje Hindeloopen」と恊働した。
これまでも、デザインアカデミーアイントフォーフェンの卒業制作として制作された9.11以後のスキポール空港での没収品を集めて写真におさめた「チェックドバゲージ」や、消費量が世界一といわれているオランダの豚をめぐる状況をリサーチし一冊にまとめたPIGなど、当たり前な日常の背景に潜む社会の仕組みやロジックを独特のアプローチで作品に置き換えてきたクリスティンだけに、Oak Insideにこめられた意味を引き続き探っていきたいと思っている。

クリスティンのサイトでは彼女の作品をたくさん見ることができる。
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加藤 孝司加藤 孝司
水島 七恵水島 七恵
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